輸入代替(読み)ゆにゅうだいたい(英語表記)import substitution

改訂新版 世界大百科事典 「輸入代替」の意味・わかりやすい解説

輸入代替 (ゆにゅうだいたい)
import substitution

ある国が従来外国から輸入していた製品を,国内生産によって部分的ないし全面的に自給化することをいう。第2次大戦後,多くの発展途上諸国は輸入代替によって工業化を達成しようとした。すなわち,関税や輸入の量的制限を通じて工業製品の国内市場を海外の競争から隔離するとともに,種々の助成措置を施して国内工業の育成をはかったのである。このように,輸入代替が工業化戦略として採用されたのは,従来の輸入品であれば当初から一定の国内需要が存在することが明らかであり,またその国内供給も比較的容易であると考えられたからである。しかし,この戦略は一般に成功したとはいいがたい。多くの発展途上諸国において,輸入代替によって育成された国内工業は,いつまでも国際競争力をつけることができなかったからである。その理由は主として次の2点に求められる。第1に,各国の国内市場の狭隘(きようあい)性である。これは大規模生産の有利性が著しい工業の場合に,とくに重要と考えられる。第2に,輸入の量的制限による海外からの競争圧力の遮断である。これは国内市場の独占化を通じて,その生産性の停滞をもたらしたのである。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の輸入代替の言及

【貿易】より

…しかし日本はこの間にも,輸出を6.6%,輸入を2.3%,それぞれ拡大している。またラテン・アメリカ諸国はこの時期に輸入代替的工業化に着手している。 第2次大戦終了を機にIMF(国際通貨基金),GATT(ガツト)(関税・貿易に関する一般協定),世界銀行(国際復興開発銀行)を3本柱とするブレトン・ウッズ体制が成立した。…

※「輸入代替」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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