翻訳|cinnabar
硫化鉱物の一つ。水銀の鉱石鉱物として重要であるのみならず、顔料として古代から広く用いられている鉱物。黒辰砂metacinnabarおよびハイパー辰砂hypercinnabarと同質異像関係にある。合成物の実験では、純粋な辰砂は約345℃で黒色の黒辰砂相当相に転移し、約481℃でハイパー辰砂相当相に転移する。浅~中熱水鉱床中、緑色岩中、変成層状マンガン鉱床中などに産し、硫化鉄鉱物、硫化砒(ひ)素鉱物、炭酸塩鉱物、石英、有機物質などと共存することが多い。自形は六角柱状で、貫入双晶(二つの個体が互いに入り組んだ双晶)をつくることもある。日本では、北海道常呂(ところ)郡留辺蘂(るべしべ)町(現、北見市留辺蘂町)イトムカ鉱山(閉山)、奈良県宇陀(うだ)郡菟田野(うたの)町(現、宇陀市菟田野地区)大和(やまと)水銀鉱山(閉山)などが有名であった。
[加藤 昭 2017年5月19日]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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