逐電(読み)ちくてん

精選版 日本国語大辞典 「逐電」の意味・読み・例文・類語

ちく‐てん【逐電】

〘名〙 (「ちくでん」とも。いなずまを追う意)
① 非常に敏速に行動すること。急ぐこと。
※小右記‐長保元年(999)一一月九日「御使逐電帰参」 〔新論‐知人〕
② 逃げ去って行方をくらますこと。出奔逃亡失踪
兵範記‐保元元年(1156)七月一一日「清盛等乗勝逐逃、上皇左府晦跡逐電」
太平記(14C後)二七「人を遣しけるに、早先立て逐電(チクテン)しければ、行方も知ず」
③ かみなり。
富家語(1151‐61)「逐電落て件御堂焼了」
[補注]「電」は呉音「でん」、漢音てん」。「色葉字類抄」「運歩色葉集」ほか古本節用集の諸本や「日葡辞書」「落葉集」ではすべてチクテンとしているから、少なくとも室町時代頃までは漢音読みであったと思われる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「逐電」の意味・読み・例文・類語

ちく‐でん【逐電】

[名](スル)《古くは「ちくてん」とも。いなずまを追う意》敏速に行動すること。特に、すばやく逃げて行方をくらますこと。「公金を横領して逐電する」
[類語]出奔駆け落ち家出どろん高飛び夜逃げ都落ち食い逃げ乗り逃げ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

普及版 字通 「逐電」の読み・字形・画数・意味

【逐電】ちくでん

電光のように速い。宋・朱熹〔米元章)の帖に跋す〕米老の書、天馬の銜(くつばみ)をし、風をひ電をふが如し。範するに馳驅(ちく)のを以てすべからずと雖も、は自ら痛快なるを妨げず。

字通「逐」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android