達良郷(読み)たたらごう

日本歴史地名大系 「達良郷」の解説

達良郷
たたらごう

和名抄」高山寺本に「達良」と記し、「太々良」と読む。刊本には「多良」と記して訓を欠くが、「たたら」と読むことに異説はない。「新撰姓氏録」によると「多多良公、出御間名国主爾利久牟王、天国排開広庭天皇御世、投下、献金多々利金乎居等、賜多々良公姓也」とある。欽明天皇のとき任那王室の一族が帰化し、多多良公の姓を賜ったというのであって、多々良の地名もここに根拠を置いた渡来系氏族から起こった名であろう。ただし、大内多々良氏譜牒ならびに大内氏系図によると、推古天皇一九年に百済国聖明王の第三王子琳聖太子が周防国多々良たたら海岸に来着し、聖徳太子から采邑の地と多々良の姓を賜ったとあるから、渡来した時期と出自に差異がある。


達良郷
たたらごう

「和名抄」所載の郷で、高山寺本で多々良、東急本では太々良と訓を付す。「日本地理志料」「大日本地名辞書」ともに現富浦とみうら多田良ただらを中心とした周辺地域に比定している。中世には多田良庄、近世では多田良村とあり、大房たいぶさ岬の付根の多田良地区に古墳時代後期の大武佐たいぶさ古墳、富浦湾に面した同町豊岡とよおか地区には一二群七六基にのぼる横穴がみられ、岡本おかもと川流域や大房岬浜須賀はますかの地にも古墳時代から奈良・平安時代の遺跡が散布している。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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