物質に作用して,それを還元する単体および化合物の一般的名称。電気陰性度の小さい元素や酸化状態の低い化合物が還元剤になりやすい。単体では,水素,炭素,リンなどの非金属,ナトリウム,マグネシウム,金属アマルガム,亜鉛,スズ,アルミニウムなどの金属は還元剤となる。ヨウ化水素,硫化水素,アンモニアとその誘導体,ホスフィン,アルシン,金属の水素化物とその誘導体も還元剤として働く。低級の酸化物である一酸化炭素,二酸化硫黄,三酸化二リン,亜ヒ酸,亜リン酸,亜硝酸も還元剤となる。そのほか第一鉄塩,第一スズ塩,硫化物,フェロシアン化物,低い酸化状態のチタン,バナジウム,クロム化合物,シュウ酸,ブドウ糖なども還元作用をもつ。しかし,還元剤は,反応する相手によって酸化剤にもなり,さらに温度,圧力等の反応条件によって酸化剤,還元剤いずれにもなるものもある。有機化合物の還元は,白金,パラジウム,ニッケルを触媒として水素ガスと反応させるか,各種の水素化物,亜鉛・スズなどの金属と酸,液体アンモニアとアルカリ金属を用いる場合が多い。
→酸化・還元
執筆者:井口 洋夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
ほかの物質を還元し,みずからは酸化される物質.水素,不安定な水素化合物(ヨウ化水素,硫化水素,LiAlH4やCaH2などの金属の水素化物),普通の酸化数より低い酸化数をもつ元素の酸化物または酸素酸とその塩(CO,SO2,亜硫酸塩),電子を与えやすい金属(アルカリ金属,アルカリ土類金属,Zn)およびそのアマルガム,低原子価金属イオン(Fe2+,Sn2+,Ti3+,Cr2+)を含む塩,硫黄化合物(硫化ナトリウム,硫化アンモニウム),ギ酸,シュウ酸,糖類,ヒドラジン,ヒドロキシルアミン,ヒドロキノン,アスコルビン酸,アルデヒド,ピロガロールなどの有機物がある.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
ほかの物質を還元する作用をもつ物質。ある物質を還元するとき、還元剤自身は電子を放出して酸化される。水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム、亜鉛、炭素などの単体は還元剤としてよく利用され、金属に酸を注いで発生させた発生期の水素はとくに有効な還元剤となる。これらのほか、アルカリ金属や亜鉛のアマルガム、ホウ素やアルミニウムの水素化物、低酸化状態の金属塩、硫化水素、硫化物、チオ硫酸塩、シュウ酸、ギ酸、アルデヒド、アルコール、糖なども還元剤として使われる。酸化・還元反応は相対的であるから、ある系では還元剤となるものが他の系では酸化剤となる場合もあり、そのような例として二酸化硫黄(いおう)、過酸化水素などがある。
[岩本振武]
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