配合禁忌(読み)ハイゴウキンキ

デジタル大辞泉 「配合禁忌」の意味・読み・例文・類語

はいごう‐きんき〔ハイガフ‐〕【配合禁忌】

2種以上の医薬品配合するとき、物理的化学的変化で、薬理上の効力が変わったり減少したりする状態を避けること。

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精選版 日本国語大辞典 「配合禁忌」の意味・読み・例文・類語

はいごう‐きんきハイガフ‥【配合禁忌】

  1. 〘 名詞 〙 薬の調剤に際し混合を避けるべきもの。相互の化学的あるいは物理的変化によって、目的とする薬理上の効力を変じたり減少したりするものを避けること。〔日本家庭大百科事彙(1927‐31)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「配合禁忌」の意味・わかりやすい解説

配合禁忌
はいごうきんき

薬剤を配合したとき、なんらかの変化を生じ、そのままでは患者に適応しえない薬剤の組合せをいう。治療学的配合禁忌と薬剤学的配合禁忌があり、薬剤学的配合禁忌はその機序(メカニズム)から化学的配合禁忌と物理的配合禁忌に分類される。

 治療学的配合禁忌は薬物の併用によっておこる薬理作用増強や減弱を対象とし、とくに薬理作用の増強は副作用の増大となって現れるので問題となっている。カナマイシンなどアミノ糖系抗生物質はデキストランを成分とする血漿(けっしょう)増量剤との併用で腎(じん)障害が現れるといった例や、ワルファリンカリウムとアスピリンの併用で出血傾向が現れるなど多くの例が知られている。従来は、薬理作用の相反する薬剤、たとえばアトロピン散瞳(さんどう)剤)とピロカルピン(縮瞳剤)の配合といった例や、含糖ペプシン炭酸水素ナトリウムの配合のごとく、ペプシンがアルカリで不活性化されるような例について薬理学的配合禁忌といっていた。これらはすべて配合は不可である。ただし、薬物間相互作用は個体差が多く、しかも減量投与経路、投与時間を変えることによって投与が可能である。

 薬剤学的配合禁忌の例としては、アスピリンと炭酸水素ナトリウム、ビタミンC(アスコルビン酸)と酸化マグネシウムや健胃散など制酸剤があり、前者は湿潤し、後者はビタミンCがアルカリで分解する。これらは配合不適といい、別々に包装して、用時いっしょに服用する。ダイオウと酸化マグネシウムの配合では色が変化するが効力に変化はない。このような場合、配合注意と称して、その旨患者に説明することになっている。

[幸保文治]

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百科事典マイペディア 「配合禁忌」の意味・わかりやすい解説

配合禁忌【はいごうきんき】

2種以上の薬品を配合(調剤・製剤)する際,薬物相互の物理的もしくは化学的反応によって,変色,湿潤,薬効変化,有毒物生成など種々の不都合を生じるため,そのままでは患者に適用しえない場合をいう。絶対に配合を避ける必要がある〈配合不可〉には塩化第一水銀とアンチピリン・臭化物・ヨウ化物,サルファ剤とプロカインなど。その他,技術的処理により投与可能な〈配合不適〉,色の変化などがあるが患者に不安感を与えぬよう注意すればよい〈配合注意〉がある。調剤上問題がなくとも,生体内で他の薬物の薬理作用に重大な影響を及ぼす組合せを,〈薬理的配合禁忌〉という。
→関連項目禁忌(医学)

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世界大百科事典(旧版)内の配合禁忌の言及

【配合変化】より

…2種以上の医薬品を配合したさい,薬物相互作用による薬効,副作用または理化学的性状に変化を起こすことをいう。配合変化には,配合のために害を生じ絶対に避けなければならない配合禁忌,配合による変化を適当な手段によって投薬可能にできる配合不適,外観などに変化を生じるが薬効に影響のない配合注意がある。配合変化は原因により薬物学的配合変化と理化学的配合変化に分類することができる。…

※「配合禁忌」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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