配石遺構(読み)はいせきいこう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「配石遺構」の意味・わかりやすい解説

配石遺構
はいせきいこう

運搬可能な大きさの石を一定の形状に配置した遺構を、単に配石遺構とよんでいる。もっぱら縄文時代に、石材の入手しやすい地域に発達した。北海道の環状石籬(せきり)、秋田県大湯遺跡の環状列石などが有名である。前者墳墓であり、後者もその可能性が強いが、祭祀(さいし)関係のものという考えもある。遺骸(いがい)を埋めた墓壙(ぼこう)の地表に配石のみられる例が多いが、この場合配石は、墓標的な性格をもつものであったと考えられる。配石遺構の性格には、墳墓関係、祭祀信仰関係のもののほかに、主として住居の床面に平たい石を敷き詰めた敷石住居址(し)など、居住関係のものもある。山口県土井ヶ浜遺跡の弥生(やよい)前期の埋葬人骨の四隅には、一種の配石がみられる。

岡本 勇]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の配石遺構の言及

【樺山遺跡】より

…岩手県北上市稲瀬町字大谷地,北上高地の西麓にあたる北上川左岸の河岸段丘上に立地する縄文時代前期~後期の遺跡。配石遺構を伴うことで知られる。1951年以降,岩手県教育委員会や北上市教育委員会によってしばしば発掘調査が行われた。…

【祭祀遺跡】より

…石塊を用いたもの(秋田県大湯遺跡),立石をめぐらしたもの(小樽市忍路(おしよろ)三笠山)がある。また1本の立石の根もとの周囲に長手の石を放射状に配した〈日時計〉(大湯遺跡)や,祭壇状その他に石を配した各種の〈配石遺構〉がある。このうち環状列石や〈日時計〉は,共同墓地に伴う施設と判明している。…

【配石墓】より

…1人で運べる程度の自然石,ないし一部を加工した石などを遺骸の周囲や墓壙の上に配する墓。また,このような墓の集合体も配石墓と称することがあり,列石や敷石を含めて配石遺構と総称する。日本では,西日本の弥生時代にみられる墓壙内の四隅に石を配する配石墓例を除き,縄文時代に特徴的な墓制である。…

※「配石遺構」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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