家庭医学館 「重複尿道」の解説
ちょうふくにょうどう【重複尿道 Urethral Duplication】
1つの陰茎(いんけい)に、尿道が2本存在するものです(図「重複尿道のいろいろ」)。
完全重複尿道(かんぜんじゅうふくにょうどう)は、膀胱(ぼうこう)から亀頭(きとう)までの全長にわたって2本の尿道がある、先天性のまれな病気です。異常なほうの尿道は、通常、正常な尿道の上側(陰茎の背側)に位置し、亀頭や陰茎の背側に尿道口があります。尿道括約筋(にょうどうかつやくきん)の中を通らないため、尿道が閉まらず、失禁(しっきん)がみられます。
不完全重複尿道(ふかんぜんじゅうふくにょうどう)は、膀胱(ぼうこう)から出た2本の尿道が亀頭部の手前で1本の尿道となります。二分尿道(にぶんにょうどう)は、膀胱から出た1本の尿道が途中から2本に分かれ、それぞれ外尿道口をもつものです。
これらの異常な尿道口は、陰茎の背腹側、会陰部(えいんぶ)、直腸内にみられます。
副尿道(ふくにょうどう)というのは、2つの尿道口があるものの、一方は途中でとぎれて行き止まりになっているものです。ふつう、陰茎の背側にあります。
[症状]
尿が出にくく、出ても尿流が細く、2本に分かれたりします。また、本来出ないところから尿が出たり、排尿が終わっても、尿がしたたり落ちたりします。
[治療]
症状がなければ治療は不要ですが、失禁(しっきん)がある場合は、括約筋で囲まれた尿道を残して、異常な尿道は手術してとってしまいます。