20世紀日本人名事典 「野上 弥生子」の解説
野上 弥生子
ノガミ ヤエコ
明治〜昭和期の小説家
- 生年
- 明治18(1885)年5月6日
- 没年
- 昭和60(1985)年3月30日
- 出生地
- 大分県北海部郡臼杵町(現・臼杵市)
- 本名
- 野上 ヤヱ
- 旧姓(旧名)
- 小手川
- 学歴〔年〕
- 明治女学校〔明治39年〕卒
- 主な受賞名〔年〕
- 読売文学賞(第9回)〔昭和32年〕「迷路」,女流文学賞(第3回)〔昭和39年〕「秀吉と利休」,文化功労者〔昭和40年〕,文化勲章〔昭和46年〕,日本文学大賞(文芸部門・第18回)〔昭和61年〕「森」
- 経歴
- 16歳で上京、明治女学校を卒業。明治39年同郷の野上豊一郎(英文学者、戦後法大総長)と結婚し、夏目漱石の門下となる。40年処女作「縁」で文学デビュー。一時は平塚らいてうの「青鞜」に参加。大正末から昭和初期にかけて「海神丸」「大石良雄」や「真知子」などを書き、作家としての地歩を固めた。昭和11年から20年がかりで完結した「迷路」(全6巻)は10年代を舞台に軍国主義下に苦悩する左翼転向者の魂の軌跡を描いた大河小説。また37、38年にかけて権威者と芸術家との葛藤を描いた長編「秀吉と利休」は野上文学の最高傑作とされている。46年文化勲章受章。「野上弥生子全集」(全23巻・別巻3 岩波書店)、「野上弥生子全小説」(全15巻 岩波書店)がある。平成14年哲学者の田辺元と60代半ばから約10年間に渡って続けられた往復書簡がまとめられ、「田辺元・野上弥生子往復書簡」として刊行された。
出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報