野伏し(読み)のぶし

精選版 日本国語大辞典 「野伏し」の意味・読み・例文・類語

の‐ぶし【野伏・野臥・野武士】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 山野に露宿して仏道修行をする僧をいう。山伏(やまぶし)
    1. [初出の実例]「山ならぬすみかあまたにきく人の野ふしにとくも成にける哉〈源経房〉」(出典:拾遺和歌集(1005‐07頃か)雑下・五二八)
  3. ( 野武士とも ) 中世、畿内およびその周辺に起こり、全国的に広がった農民の武装集団をいう。一定の主人を持たず、山野に潜伏し、敗軍の将兵武具甲冑、馬などを略奪したり、形勢をうかがって優勢の軍について戦闘に参加したりした。また、戦国時代に、大名が領内の農民を徴発し武装させて徒歩兵力として戦闘に参加させたものもいう。
    1. [初出の実例]「野伏もなくてとて、続松ふりあげて近づけば」(出典:平治物語(1220頃か)中)
  4. 合戦に先だって小人数による攻撃をしかけること。
    1. [初出の実例]「明後日可合戦云々、今日有野伏云々」(出典:実隆公記‐大永七年(1527)一二月三日)
  5. 山野に潜伏し、強盗や追い剥ぎをした集団。
    1. [初出の実例]「多(おおく)の野伏(ノブシ)中間へはいり、昼夜盗(ぬすみ)をして送りけるが」(出典:浮世草子・けいせい伝受紙子(1710)四)
  6. 定まった住居がなく、山野に野宿すること。また、その者。のぶせり。
    1. [初出の実例]「東山麓辺野伏有之」(出典:惟房公記‐永祿元年(1558)六月八日)
  7. 蹴鞠(けまり)のとき、競技者である鞠足(まりあし)に付く補助者。懸(かかり)とよばれる競技場の外に飛び出た鞠を蹴り返す。
    1. [初出の実例]「心あらむ野臥四人立べし」(出典:成通卿口伝日記(1136頃)鞠人数の事)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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