朝日日本歴史人物事典 「野口孫市」の解説
野口孫市
生年:明治2.4.23(1869.6.3)
明治後半期,住友家で活躍した建築家。姫路生まれ。明治27(1894)年帝国大学卒業後逓信省に入るが,同32年に住友へ招聘される。欧米渡航ののち,住友臨時建築局技師長となり,各地に開設された住友銀行の支店を中心に設計に従事。代表作には,住友家が建設し大阪府に寄贈した大阪府立図書館(1904)がある。住宅作家としても優れ,住友関係者の邸宅に作品を残している。アールヌーボーなどの新造形も含め,様々な様式建築を巧みにまとめあげる力量は高く評価されたが,肺結核により早世した。その後の住友営繕は,日高胖,長谷部鋭吉,竹腰建造らに受け継がれた。<参考文献>『野口博士建築図集』
(中川理)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報