改訂新版 世界大百科事典 「野菜指定産地」の意味・わかりやすい解説
野菜指定産地 (やさいしていさんち)
野菜は供給量の変動につれて価格が極端に暴騰・暴落することが多い。また都市化の進展につれて,野菜を安定供給することの重要性は増大している。このため野菜生産出荷安定法(1966)にもとづき,主要野菜について野菜指定産地および指定消費地域(野菜の消費上重要で,相当の人口を有する都市部およびその周辺の地域)を定めている。指定産地は当該指定野菜の出荷数量の1/2以上を指定消費地域に出荷する義務を負う代りに,出荷品目の価格が一定以下に下落した場合に,野菜供給安定基金を通じて生産者補給金が交付されるなどの特典がある。指定産地の規模は作付面積25ha(品目により15ha,10ha)以上を原則とするので,弱小産地は圧迫を受けやすい。また指定産地自体も同一品目の連作による地力低下,病虫害多発などの問題をかかえており,指定産地の入れかえが行われることもある。
執筆者:黒田 満
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報