野袴(読み)ノバカマ

デジタル大辞泉 「野袴」の意味・読み・例文・類語

の‐ばかま【野×袴】

江戸時代武士旅行火事装束などに着用した袴。緞子どんすにしき・縞織物を用い、裾に黒ビロードの太い縁をつけた。

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精選版 日本国語大辞典 「野袴」の意味・読み・例文・類語

の‐ばかま【野袴】

  1. 野袴〈南紀徳川史〉
    野袴〈南紀徳川史〉
  2. 〘 名詞 〙 江戸時代、裾(すそ)に黒ビロードなどで広い縁をつけた小袴。武士が旅行や火事装束などに着用した。
    1. [初出の実例]「家の雑掌早船主税、野袴(ノバカマ)にわらぢがけ庭上にかしこまり」(出典:浄瑠璃蘆屋道満大内鑑(1734)三)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「野袴」の意味・わかりやすい解説

野袴
のばかま

江戸時代の武士が参勤交代鷹狩(たかがり)、遠出(とおで)など、旅をする際に着用した袴。布地は武士の身分によって異なり、大名などは緞子(どんす)を用い、下級武士は縞(しま)木綿を用いた。いずれも袴の裾(すそ)に黒いビロードの縁どりがしてある。形態は馬乗袴と同じであるが、徒行用には襠(まち)を低く、乗馬用には襠高に仕立てられた。元来は男性専用のものであるが、藩主の家族は女性でも火事装束としてこれを着用した。

[遠藤 武]

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世界大百科事典(旧版)内の野袴の言及

【袴】より

…武士のほか庶民もこれを式服として用いた。(11)野袴 江戸時代に武士が旅行などに着用した袴で,襠が高く,緞子(どんす)などで作り,裾にはビロードの縁をつけた。(12)踏込(ふんごみ)野袴の,裾のごく細いもので,江戸時代に着装された。…

※「野袴」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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