金春権守(読み)こんぱる ごんのかみ

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「金春権守」の解説

金春権守 こんぱる-ごんのかみ

?-? 南北朝時代能役者
金春禅竹祖父観阿弥(かんあみ)(1333-84)とほぼ同時代に活躍奈良興福寺に属した大和猿楽円満井(えんまい)座(のち金春座)の代表者。「申楽談儀(さるがくだんぎ)」には金剛権守同様,京都での勧進能がふるい芸風であったとしるされている。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の金春権守の言及

【金春禅竹】より

…室町時代の能役者,能作者。観阿弥とほぼ同時代に活躍した金春権守(こんぱるごんのかみ)の孫で,金春弥三郎の子。通称不明。…

【金春流】より

…系図では聖徳太子時代の秦河勝(はたのかわかつ)を遠祖とし,現家元まで79代を数えるが,猿楽の家としては,南北朝時代の毘沙王権守(びしやおうごんのかみ)(河勝より53世)あたりを流祖とみてよいであろう。《猿楽縁起》(金春禅竹筆,1468)による金春の家系は,毘沙王権守を秦氏安(村上天皇のころの人)より26代とし,長子光太郎(27代),その子毘沙王次郎(28代)と続き,29代を毘沙王権守の三男金春権守の子,弥三郎が継いでいる。金春権守は観阿弥とほぼ同時代の役者で《昭君》の作者でもあるが,大和猿楽の得意芸である鬼能に長じた長兄光太郎の没後は,円満井座を代表する棟梁の為手(して)であったらしく,金春の座名はその芸名に由来するとみられる。…

【猿楽】より

…なかでも大和猿楽の四座,近江猿楽六座が名高く,ことに大和の結崎(ゆうざき)座の観阿弥世阿弥父子によって今日の能の基礎が固められるのである。
[猿楽の役者]
 当時の有名な役者たちを挙げると,〈田楽〉の一忠・花夜叉・喜阿弥・高法師(松夜叉)・増阿弥(〈田楽〉も猿楽とさして距離をおかぬものであって,世阿弥伝書にも総合的に論じられている),近江猿楽の犬王(いぬおう),大和猿楽の金春権守(こんぱるごんのかみ)・金剛権守などである。喜阿弥は音曲(謡)の名手,閑寂な能を演じ,世阿弥が少年時代に瞠目(どうもく)して観覧し,のちのちの語りぐさにしたという。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」