金輪(読み)コンリン

デジタル大辞泉 「金輪」の意味・読み・例文・類語

こん‐りん【金輪】

仏語
三輪四輪の一。水輪上位にあり、この上に九山八海くせんはっかいを支える。地輪
《「金輪宝」の略》金輪王のもつ七宝の一。その王の前にあり、金輪王を善導するという。
金輪王」の略。

かな‐わ【金輪/鉄輪】

金属製の輪。
足のある、鉄製の輪。五徳ごとく
鉄製の車輪
「やがて母と兄は下に待っているくるまに乗って…―の音を鳴らして去った」〈漱石行人
紋所の名。輪形をいくつか取り合わせたもの。三つ組金輪・五つ金輪など。
[補説]曲名別項。→鉄輪

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精選版 日本国語大辞典 「金輪」の意味・読み・例文・類語

かな‐わ【金輪・鉄輪】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 火鉢や囲炉裏(いろり)に置いて、鍋ややかんをかける鉄製の台。三本足で、輪を上にする場合と下にする場合とある。五徳
      1. [初出の実例]「前のすびつに、することもなくて、かなはといふものの立てるを見てよめる」(出典:散木奇歌集(1128頃)雑)
      2. 「貴布禰川鉄輪の火かや飛蛍」(出典:俳諧・犬子集(1633)三)
    2. 鉄輪の三つ足のような位置に、三人が向かい合ってすわること。
      1. [初出の実例]「鴨川の鴨を鉄輪に雪見かな」(出典:俳諧・五元集(1747)亨)
    3. 金属製の輪。また、鉄製の車輪。
      1. [初出の実例]「いきなりその鉄輪(カナワ)(おそらくは引手の)を二度突き鳴らして待って見て」(出典:めぐりあひ(1888‐89)〈二葉亭四迷訳〉一)
    4. (お)の結び方の名。金輪結び。
    5. 紋所の名。輪を三つ、または四つ五つ組み合わせて図案化したもの。四つ金輪、五つ金輪、三つ組金輪、三つ並金輪など。
      1. 五つ金輪@三つ並金輪@三つ組金輪@四つ金輪
        五つ金輪@三つ並金輪@三つ組金輪@四つ金輪
  2. [ 2 ] ( 鉄輪 ) 謡曲。四番目物。各流。作者不詳。古名「貴布禰(きぶね)」。夫に捨てられた女が貴船の宮に丑(うし)の刻参りをし、鬼となって夫と後妻を襲うが、陰陽師晴明(せいめい)に祈られ退散する。

こん‐りん【金輪】

  1. ( 「こん」は「金」の呉音 )
  2. [ 1 ] 〘 名詞 〙 仏語。
    1. 仏教の世界観で地下にあって大地を支える三輪の一つ。風輪、水輪の上にあるもの。この上に九山、八海、須彌四州(しゅみししゅう)があるという。地輪。金剛輪。
      1. [初出の実例]「三観之隙、必専金輪之久転」(出典:源平盛衰記(14C前)五)
      2. [その他の文献]〔倶舎論‐一一〕
    2. こんりんほう(金輪宝)」の略。〔雑譬喩経〕
  3. [ 2 ]こんりんおう(金輪王)」の略。
    1. [初出の実例]「是非愚身戒徳、金輪御信力所為也」(出典:古今著聞集(1254)二)

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世界大百科事典(旧版)内の金輪の言及

【火鉢】より

…このほか籐製などもある。火鉢の付属品として火箸,灰ならし,五徳(ごとく)(炭火の上に置いて鉄瓶などをかける脚付きの輪,古くは金輪(かなわ)といった)が使われる。 火鉢は和風住宅の暖房器具を代表するものといえる。…

※「金輪」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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