銃剣術(読み)ジュウケンジュツ

デジタル大辞泉 「銃剣術」の意味・読み・例文・類語

じゅうけん‐じゅつ【銃剣術】

銃剣を装着した小銃で、敵を刺殺する術。
防具をつけ、長さ約1.7メートルの木銃相手と突き合う武術

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精選版 日本国語大辞典 「銃剣術」の意味・読み・例文・類語

じゅうけん‐じゅつ【銃剣術】

  1. 〘 名詞 〙 銃の先に剣をつけ、敵と突き合う武術(武道)の一種。また、その技術を習得するための訓練。面・小手・胴の防具をつけ、たんぽ付き木銃を使用する。銃槍術銃剣道
    1. [初出の実例]「普軍の銃剣術は千八百四十四年体操と共に興りぬ」(出典:兵役篇(1897‐99)〈森鴎外〉銃剣術及び撃剣)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「銃剣術」の意味・わかりやすい解説

銃剣術
じゅうけんじゅつ

銃剣を使う近接戦闘の訓練技術。近年は「銃剣道」として柔道・剣道とともに心身鍛錬のスポーツとなっている。17世紀中ごろフランスで考案され、しだいに各国軍に採用されて白兵戦中核となり、日本でも高島秋帆(たかしましゅうはん)(1798―1866)の銃剣操法の展示、五稜郭(ごりょうかく)での官軍の銃剣突撃などの史実があり、明治陸軍は1889年(明治22)フランス式銃剣術と日本槍術(そうじゅつ)とを組み合わせ独自の戦技を完成した。訓練は、長さ166センチメートル、重さ1.1キログラムのたんぽ付き木銃で相手の咽喉(いんこう)・心臓を直突・脱突・下突・返突などの技で突く。自衛隊では射撃と連係し刺突・打撃・体当りなどの「銃剣格闘」を戦技とし、「銃剣道」競技を体育と区別している。1956年(昭和31)に発足した全日本銃剣道連盟は日本体育協会(現、日本スポーツ協会)に加盟、五級から十段までの段級、範士・教士・錬士の制度をもち、国体に参加、武道としての銃剣術の保存と国民スポーツ化に努めている。

[寺田近雄]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「銃剣術」の意味・わかりやすい解説

銃剣術
じゅうけんじゅつ

銃の先に剣を装着した武器を用い,白兵戦の訓練をおもな目的とした戦技。日本では 1880年に伝えられたフランス式銃剣術に槍術と剣術の長所を取入れ,独自の銃剣術が創案され,軍隊や学校体育で採用していた。 1937年には他の武道のように段級が与えられるようになった。第2次世界大戦終了とともに一時すたれたが,56年全日本銃剣道連盟の結成とともにスポーツとして復活した。競技は,木銃を持ち防具を着けて相対した競技者により,1本または3本先取制で競われる。試合場は約 10m四方の床または地面。

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百科事典マイペディア 「銃剣術」の意味・わかりやすい解説

銃剣術【じゅうけんじゅつ】

小銃の銃口に銃剣を装着して行う白兵戦の訓練を主目的とする戦技。小銃をかたどった木銃と,特に左胸部を強化した剣道類似の防具を使用する。旧軍では武技の訓練のほか兵員の精神鍛練の場としても重視,民間でも銃剣道と称し普及が図られたが,敗戦によりすたれた。

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世界大百科事典(旧版)内の銃剣術の言及

【銃剣道】より

…それによる刺突の闘技が発達して,訓練が盛んに行われた。日本でも幕末洋式調練が行われるようになり,銃の扱いとともに銃剣術も西欧の指導者から学んだ。日本独自の銃剣の術が考案されるのは,1873年陸軍戸山学校が創設され,その翌年フランス式銃剣術が採用されてからである。…

※「銃剣術」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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