鎖陰(
胎児発生の過程で、充実性の
●腟横隔膜
処女膜閉鎖と同様に、思春期に月経が初来すると月経血の排出障害を来し、腟
放置すれは不妊症の原因となるため、早期に腟横隔膜切除術を行います。
●腟狭窄
月経血の排出障害はありませんが、性交障害が問題となります。狭窄の程度が軽度であれば、プロテーゼ(筒状の拡張器具)を挿入し、次第に太いプロテーゼを用いて徐々に拡張することで腟の拡張を図ります。しかし、狭窄の程度が強ければ手術により造腟術を行う必要があります。
いずれにしても拡張した腟を維持するためには、定期的な性交渉やプロテーゼの挿入などが必要になるので、月経血の貯留を来さなければ、性交渉のパートナーが現れてから治療することが望まれます。
百枝 幹雄
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
性器の管腔の一部が閉鎖した状態で,性器閉鎖症ともいう。鎖陰は部位によって処女膜閉鎖atresia hymenalis,腟閉鎖atresia vaginae,腟狭窄症stenoisis vaginaeや子宮頸管閉鎖に,また原因によって先天性と後天性に分類される。先天性のものは性器の発育異常で,処女膜閉鎖や腟閉鎖の一部のものがこれに属し,後天性のものでは頸管閉鎖が多い。小児時にかかった麻疹やジフテリアによる腟炎などからくる腟潰瘍に続発するもの,その他,腐食剤使用後,外傷性また老人性のものなどがある。
症状としては,思春期以前では無症状であるが,月経発来後では鎖陰のために,月経血が外部へ流出できずに貯留し,見かけの無月経,すなわち潜伏月経cryptomenorrheaとなり,腟留血腫,頸管留血腫,子宮留血腫などを,さらには卵管留血腫をつくることがある。また処女膜閉鎖では処女膜が外方に膨隆して,暗赤色を呈する。毎月ほぼ一定の時期に周期的に激しい下腹痛を訴えるが,これを月経モリミナmolimina menstrualiaという。老人性の場合には,閉経後のため子宮留水腫をつくり,それに感染を起こして子宮留膿腫pyometraになる。
治療としては,処女膜閉鎖では閉鎖膜を切開,切除する。頸管閉鎖では頸管を通じて排液させ,高度の子宮留血腫・留膿腫の場合には子宮摘除術を,また卵管留血腫の大きいものでは卵管切除術を行うことがある。
執筆者:加藤 順三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
子宮腟腔(ちつくう)に閉鎖のおこったもので、まれな性器の形態異常の一つ。先天性発育障害によるものと、小児期における麻疹(ましん)やジフテリアなどの伝染病をはじめ、分娩(ぶんべん)障害や悪性腫瘍(しゅよう)などによる後天性のものがあり、大部分は先天性で、後天性のものは年配者の頸管(けいかん)閉鎖としてみられる。鎖陰は処女膜閉鎖、腟閉鎖、頸管閉鎖の順に多くみられる。先天性または小児期に発症したものは原発性無月経であり、一般に青春期までは無症状で経過するが、青春期以後は月経周期に一致して下腹痛がおこり、持続するようになるとともに痛みも激しくなる。これは月経血の貯留によるもので、下腹部の膨満感が強くなる。単なる処女膜閉鎖程度ならば治療後の妊娠も可能。子宮血腫に続発する卵管血瘤(けつりゅう)症では不妊になりやすく、子宮外妊娠同様に危険な場合もあるので、月経異常や下腹痛があればいちおう専門医の診察を受ける。
[新井正夫]
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…卵巣楔形切除術が有効(75~90%)である。(3)子宮性無月経 鎖陰により月経出血が体外に排出されない場合の見せかけの無月経(偽無月経,潜伏月経とも呼ばれる)と,子宮そのものが原因となる狭義の子宮性無月経とがある。後者には結核性子宮内膜炎,子宮腟癒着症(外傷性無月経,アッシャマン症候群),高度の子宮発育不全症,子宮萎縮などがある。…
※「鎖陰」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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