翻訳|antitussive
咳を止める薬で,俗に〈咳止め〉ともいう。咳がおこる機構は複雑であるが,気道内の異物,分泌物,炎症などが気道粘膜を刺激して気管を収縮させるのが咳反射の引金になると考えられる。したがって,咳は気道に入ったほこりなどの異物や粘稠な分泌物を気道から除くのに役立つ生理的な反射であるといえる。しかし連続的な激しい咳のために気道の炎症がさらにひどくなるとか,患者の休息や睡眠が妨げられるような場合には鎮咳薬が有用となる。鎮咳薬は,延髄にある咳反射の中枢(咳中枢)に作用して咳を抑えるもので,麻薬性鎮咳薬と非麻薬性鎮咳薬に大別される。多用されるものとしては,前者に属するものでは,コデイン(アヘンアルカロイドの一つ),その水素添加誘導体ジヒドロコデインがある。非麻薬性鎮咳薬としては,デキストロメトルファン,チペピジン,ノスカピンなどがある。コデイン類は麻薬であるが,日本では家庭麻薬製剤という特例を設け1/100以下の含量で配剤することは許されている。一方去痰薬(きよたんやく)は,痰の排出を促進し,気道粘膜に対する刺激をやわらげて咳の発生を抑える。またアドレナリン,エフェドリンなどの気管支拡張薬は,気管支筋を弛緩させて内腔を広げ,痰の排出を容易にしたり咳の気流を減速したりして咳を弱める。しかし一般には,これらは鎮咳薬とは別に分類される。
執筆者:粕谷 豊
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…とくに空腹時には,他の配合薬の作用も強く現れるので,胃障害のない人でも風邪薬の服用は避けるべきである。
[鎮咳薬]
咳は本来生体の防衛反応であるから,みだりに抑制すべきではないが,過度の咳は心身を消耗させるので鎮咳(ちんがい)薬を用いる。麻薬性鎮咳薬(コデインなど。…
…百日咳では,しばしば咳のあとの吸気に高いヒューという音がする。
[咳と咳止め]
咳は本来気道の防御反射であり,鎮咳薬(ちんがいやく)によって,むやみに止めてはならない。咳をおこす原因となっている疾患そのものをまず治療することが原則である。…
※「鎮咳薬」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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