鎮守(読み)チンジュ

デジタル大辞泉 「鎮守」の意味・読み・例文・類語

ちん‐じゅ【鎮守】

兵士を駐在させて、その地をしずめ守ること。
鎮守神のこと。また、その神を祭った神社。「村の鎮守の祭り」
[類語](2神社やしろみや神殿神廟しんびょう社殿廟宇びょうう神宮ほこら大社稲荷八幡本社摂社末社祠堂

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精選版 日本国語大辞典 「鎮守」の意味・読み・例文・類語

ちん‐じゅ【鎮守】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( ━する ) 辺境軍隊を派遣駐屯させ、原地民の反乱などからその地をまもること。特に、奈良・平安時代、鎮守府にあって蝦夷鎮衛すること。鎮戍(ちんじゅ)。鎮衛。
    1. [初出の実例]「麻呂等帥余三百五人多賀柵〈略〉国大掾正七位下日下部宿禰大麻呂鎮牡鹿柵。自余諸柵依旧鎮守」(出典:続日本紀‐天平九年(737)四月戊午)
    2. [その他の文献]〔曹丕‐以陳群為鎮軍司馬懿為撫軍将詔〕
  3. ちんじゅふ(鎮守府)」の略。
    1. [初出の実例]「又陸奥鎮守兵及三関兵士、簡定三等」(出典:続日本紀‐天平元年(729)八月癸亥)
  4. 一国・王城・寺院村落など一定の地域で、地霊をしずめ、その地を守護する神。また、その神社。鎮主。鎮守の神。鎮守神。
    1. [初出の実例]「官符三通。皆給出羽国。〈略〉一通鎮守正二位勲三等大物忌明神山燃〈有御占〉事恠」(出典:本朝世紀‐天慶二年(939)正月一九日)

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改訂新版 世界大百科事典 「鎮守」の意味・わかりやすい解説

鎮守 (ちんじゅ)

土地ないし施設を霊的な疫災から守護する神。鎮主とも書く。もと鎮安守護の意で鎮守府,鎮守使など一般に形容語とするが,日本では平安朝以来独立の成語として鎮守神をさす。もと大乗仏教の護法善神の思想により寺院の守護神として勧請(かんじよう)したもので,興福寺の春日明神高野山の丹生(にう)明神,比叡山山王権現,東寺の鎮守八幡宮など多くは寺院の建立以前からの地主神(じぬしがみ)を改めてまつった。これには本来,強力な来訪神が在地の神霊を慰撫し服属せしめる方式が生かされており,鎮守神としての奉斎がおのずから他の諸霊を制する神威を高めることになる。そこでまもなく鎮守神祭祀の風が一般化し,一国鎮守,王城鎮守,家宅鎮守などの信仰が普及した。古くは《本朝世紀》天慶2年(939)4月19日の条に〈鎮守正二位勲三等大物忌明神〉の称号が見え,《本朝文粋》の願文にも〈鎮主熱田宮〉とある。《神道集》には〈信濃国鎮守諏訪大明神〉と記し,《源平盛衰記》に厳島神社を〈安芸国第一の鎮守也〉としている。《上野国神名帳》に鎮守十二社とあるように複数をあげる例もあり,《二十一社記》にも〈王城鎮守とて廿一社を定置〉とある。城内鎮守として有名なのは,1590年(天正18)に徳川家康が江戸城内の旧祠山王権現を鎮守として紅葉山にまつり,後に赤坂山王(現,日枝神社)を建立した例がある。また《江戸砂子》には,富岡八幡宮に〈当社四隅鎮守〉として丑寅(東北)の鬼門に蛭子神など境内の四方に鎮守神をまつったことを記している。なお平安時代から地方の荘園に領主の鎮守神を盛んに分祀したこともあってしだいに村落部にも鎮守信仰が普及し,近世には氏神産土(うぶすな)神をも鎮守と称するようになった。今日では〈村の鎮守〉とか〈鎮守の森〉が地域の氏神の社を意味するようになったが,やはり鎮守(神)という言葉には土地や建物を守護する地縁的な神格の意味が強く,その点で氏神や産土神の血縁的な神格の表現と微妙な違いが残っている。
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山川 日本史小辞典 改訂新版 「鎮守」の解説

鎮守
ちんじゅ

特定の土地・建築物を守護するために祭られた神。ふつう氏神や産土神(うぶすながみ)・地主神など村に鎮座する神を意味するが,これは近世以降の傾向で,国・王城・城内・荘園・寺院の鎮護のために祭る神にもいう。諸国一宮はその国の鎮守であり,王城鎮守には伊勢神宮以下21社があてられ,寺院鎮守では東大寺の八幡神,城内鎮守では江戸城の日吉(ひえ)山王(現,日枝神社)の例がある。神格の高い神を勧請することが多く,在来の土着の神の神威をはばかり,地鎮祭を行ってから祭る。鎮主とも書く例があるのはこのためとする説がある。土着の神の多くはこれらの勧請神に吸収された。血縁的社会結合よりも地縁的社会結合が重視されると,地主神・産土神が鎮守となって氏神の勢力を抑えた。

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普及版 字通 「鎮守」の読み・字形・画数・意味

【鎮守】ちんじゆ

安んじ守る。〔後漢書、伏湛伝〕拜して司直と爲し、大司徒の事を行はしむ。車駕、出でて征伐するに、常に留まりて鎭守し、群司を攝す。

字通「鎮」の項目を見る

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