鐃(漢字)

普及版 字通 「鐃(漢字)」の読み・字形・画数・意味


20画

[字音] ドウダウ)・ニョウ(ネウ)
[字訓] どら・じんがね・かまびすしい

[説文解字]

[字形] 形声
声符は堯(尭)(ぎよう)。堯に撓(どう)の声がある。〔説文十四上に「小鉦なり」とし、また「軍法に、卒長は鐃を執る」とあって、軍中に用いるドラの類。殷の楽器に鐃とよばれるものがあり、極めて大型の器。ほとんど江南の山陵地帯より出土。南方諸族との境界に接する地であることから考えると、異族に対する厭勝(ようしよう)(まじない)の呪器であり、時に祭祀に用い、平時は埋めていたものであろう。南方族の銅鼓は、ほぼその境界に沿って、最も古い形式のものがあり、また呪器であり、祭器であったものと考えられる。卒長の執るところの鐃は、のちの短簫鐃歌(たんしようどうか)に用いたものであろう。漢に短簫鐃歌十八曲があり、胡人の用いた外来曲に詞を加えたものと思われる。

[訓義]
1. どら、じんがね、すず。
2. 殷代の楽器、口を上にして用いるが、極めて大型であるから、柄を地に樹てて用いたものであろう。
3. にょうはち、両手に一面ずつをもち、うち合わせる楽器。
4. (どう)と通じ、かまびすしい、みだれる、やかましい。
5. 撓と通じ、たわむ。

[古辞書の訓]
名義抄〕鐃 トシ・トカリ・ホコル・アツマル 〔字鏡集〕鐃 トカリ・ホツツミ・ホツマル・トシ・ホフル

[語系]
鐃・njiは同声。は〔説文〕三上に「恚(いか)り(よ)ぶなり」とあり、はげしい声でよぶ意。鐃はせわしく、やかましくたたく楽器の意であろう。殷代の鐃には自名の銘はなく、その形制を以てかりにその名が与えられている。

[熟語]
鐃歌鐃鼓鐃吹・鐃
[下接語]
金鐃・鼓鐃・執鐃・簫鐃・吹鐃・征鐃・清鐃・鐸鐃・舞鐃・文鐃・鳴鐃

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

今日のキーワード

発見学習

発見という行為の習得を目指す学習。または,発見という行為を通じて学習内容を習得することを目指す学習。発見学習への着想は多くの教育理論に認められるが,一般には,ジェローム・S.ブルーナーが『教育の過程』...

発見学習の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android