長寿化(読み)ちょうじゅか

知恵蔵 「長寿化」の解説

長寿化

普通死亡率(人口1000人に対する年間死亡数)は長期的に減少傾向にあり、1947年には14.6だったが、61年には7.4とほぼ半減した。その後は6.2前後の低水準だったが、人口高齢化を反映し、2006年には8.6へと上昇傾向をみせている。平均寿命(出生時における平均余命)も47年では男子50.1年、女子54.0年だったが、06年にはそれぞれ79.0年、85.8年となった。女性は世界一、男性は香港アイスランドに次いで世界第3位の長寿国となっている。男女の格差は6.8年となり前年より0.16年縮小した。目覚ましい平均寿命の改善の背景には、乳児死亡率(出生児1000人に対する1歳未満での死亡数)の低下(1947年に77.0、2006年に2.6)と、近年顕著な中高年の寿命の延びがある。死因別死亡率も変化し、1950年における三大死因は結核脳血管疾患がんの順だったが、2006年ではがん、心疾患、脳血管疾患の順となっている。特にがんによる死亡の増加が目立ち、全死亡数108万4450人中、約30%を占める。これらの死亡に関連した数値は、今後の遺伝子技術や再生医療進歩喫煙率、交通事故死の増減農薬公害などによる文明病環境ホルモンによる汚染尊厳死安楽死に対する容認度、エイズの動向などによっても変化する。

(小川直宏 日本大学教授 / 2008年)

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