日本大百科全書(ニッポニカ) 「長瀞(埼玉県)」の意味・わかりやすい解説
長瀞(埼玉県)
ながとろ
埼玉県北西部、秩父(ちちぶ)郡長瀞町にある荒川峡谷の一区域。荒川は秩父盆地の末端皆野(みなの)町親鼻付近から、秩父山地の東端寄居(よりい)町に至る間峡谷をなすが、このうち親鼻付近から長瀞町滝ノ上付近まで約8キロメートルの間が1924年(大正13)国の名勝・天然記念物に指定された。岩畳とよばれる結晶片岩の岩石段丘、甌穴(おうけつ)、断層破砕帯など地学教材が多く、長瀞系結晶片岩とともに、日本地質学発祥の地といわれる。とくに河床にみられる結晶片岩は、秩父赤壁(せきへき)といわれる対岸の絶壁とともに、この渓谷美の中心をなす。春の桜、初夏の新緑、秋の紅葉は、陸上からも、川下り(長瀞ライン下り)の舟によっても楽しむことができ、訪れる行楽客は多い。近くに県立川の博物館・自然の博物館、長瀞総合博物館や、信仰の山である宝登山(ほどさん)があり、観光シーズンには臨時電車が運転される。寄居町の玉淀(たまよど)付近を含めて、県立長瀞玉淀自然公園となっている。
[中山正民]
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