長者宣(読み)チョウジャセン

デジタル大辞泉 「長者宣」の意味・読み・例文・類語

ちょうじゃ‐せん〔チヤウジヤ‐〕【長者宣】

摂政関白うじの長者として出す御教書みぎょうしょ藤原氏氏社春日大社氏寺興福寺に与えたものなど。

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精選版 日本国語大辞典 「長者宣」の意味・読み・例文・類語

ちょうじゃ‐せんチャウジャ‥【長者宣】

  1. 〘 名詞 〙(うじ)長者が出す御教書(みぎょうしょ)。藤原氏が氏社の春日社、氏寺の興福寺に与えたものをいう場合が多い。ちょうざせん。
    1. [初出の実例]「丞相被山階寺喜多院内新穿池作丘事早可制止之由。即書長者宣僧正房」(出典権記‐長保元年(999)七月二一日)

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改訂新版 世界大百科事典 「長者宣」の意味・わかりやすい解説

長者宣 (ちょうじゃせん)

平安時代以降の文書様式の一つ。氏長者うじちようじや)宣旨の略。(1)氏長者の口頭命令またはその内容,(2)氏長者の仰(おおせ)を奉ったものが認める宣旨形式の文書,(3)氏長者の仰を奉ったものが認める奉書形式の文書。氏長者は,藤原氏,源氏橘氏,菅原氏,中原氏等々の諸氏に置かれているが,これら諸氏の長者の命,ないしその仰をうけて発給される文書が長者宣である。とくに藤原氏の長者が発する文書は藤氏長者宣と呼ばれ,有名である。藤氏長者は平安中期以降,摂政ないし関白がこれを兼ねる。また藤原氏の子弟教育の施設として勧学院があり,勧学院は氏寺・氏社のことも管轄した。したがって氏寺・氏社に関する氏長者の命は,勧学院政所下文をもって下すのが例であったが,のち補任等については宣旨形式の藤氏長者宣,その他については奉書形式の藤氏長者宣を用いるようになった。いずれも奉者は勧学院の別当1人である。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「長者宣」の意味・わかりやすい解説

長者宣
ちょうじゃせん

平安時代,氏長者 (うじのちょうじゃ) の発する御教書 (みぎょうしょ) 形式の文書。一家一門のことに関して家司の奉書をもって出され,多く書止めに「長者宣」という文言がある。現存するものはほとんどが藤原氏の長者宣である。橘氏では平安時代中頃勢力が衰え,藤原氏が橘氏の長者を兼ねることとなった。この場合,氏長者を是定 (ぜじょう) といい,その御教書を是定宣といった。

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