日本古代,宮城諸門の守衛にあたった武人の集団。古来のカドモリと呼ばれる人々が,7世紀ころ百済の部司制の影響を受け,門部に編成されたと考えられる。令制では衛門府に属する伴部として門部200人があり,その職を世襲する負名氏(なおいのうじ)の中から原則として採用された。818年(弘仁9)に中国風に改称される以前の宮城十二門には,大伴・佐伯・壬生・建部・丹治比などの氏族の名が冠せられていたが,これらが古来門部として宮城門守衛の任を負ってきた氏族であると推測される。宮城外側の十二門の警衛のほか,践祚,大嘗祭などの儀に諸門の出入糺察(きゆうさつ)の任にあたったが,平安時代には,農民出身の衛士の弱体化にともない,宮門(中門)や八省院,大極殿,豊楽院などの守衛にもあたった。しかし氏族的な伝統を維持することは難しく,9世紀には負名氏以外からの採用が増え,職務も儀礼化して武力としての意義を失った。
執筆者:笹山 晴生
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…その上部に官人の統率者としての臣(おみ)・連(むらじ)・伴造(とものみやつこ)という階層,その下に実務を担当する百八十部(ももあまりやそのとも),そして各職務に応じ生産・貢納に従う品部(しなべ∥しなじなのとも)という,上下の統属関係にもとづくピラミッド型の官司制を成立させたと考えられる。 まず伴として,畿内の中小豪族を任ずる殿部(とのもり)(天皇の乗輿,宮殿の調度,灯火をつかさどる),水部(もいとり)(供御の清水や氷をつかさどる),掃部(かにもり)(殿内の掃除をつかさどる),門部(かどもり∥かどべ)(宮殿の諸門の守衛をつかさどる),蔵部(くらひと)(内蔵,大蔵の出納をつかさどる),物部(もののべ)・佐伯部(さえきべ)(軍事・警察,刑罰をつかさどる)などがあった。部として,畿内やその周辺に居住する帰化氏族,その他を任ずる錦織部(にしこり∥にしごりべ)(絹織物の生産に従う),衣縫部(きぬぬい∥きぬぬいべ)(衣服の縫製に従う),鍛冶部(かぬち∥かぬちべ)(鉄と兵器の生産に従う),陶作部(すえつくり∥すえつくりべ)(陶器の製作に従う),鞍作部(くらつくり∥くらつくりべ)(馬具の製作に従う),馬飼部(うまかい∥うまかいべ)(馬の飼育に従う)などがあった。…
…大和政権から異民族視された隼人(はやと),蝦夷(えみし)などの武力は,朝廷の機構のなかでそれほど大きな位置を占めるものではなかった。5世紀末~6世紀になると東国首長層の子弟で,天皇側近にあって宿直・警衛の任にあたる舎人(とねり)や,武器を帯して朝廷の警備にあたる靫負(ゆげい)が現れ,旧来の伴としての門守の諸氏も,百済の部司制を模した品部制のもとで門部(かどべ)に再編成された。他方5世紀末以後の朝鮮に対する軍事行動には,おもに西日本の首長層がそれぞれの配下の兵をひきいて参加したが,6世紀末~7世紀にはこれらの外征軍も,首長層の支配する領域ごとにいわゆる国造軍に編成され,組織化されたと考えられる。…
…その上部に官人の統率者としての臣(おみ)・連(むらじ)・伴造(とものみやつこ)という階層,その下に実務を担当する百八十部(ももあまりやそのとも),そして各職務に応じ生産・貢納に従う品部(しなべ∥しなじなのとも)という,上下の統属関係にもとづくピラミッド型の官司制を成立させたと考えられる。 まず伴として,畿内の中小豪族を任ずる殿部(とのもり)(天皇の乗輿,宮殿の調度,灯火をつかさどる),水部(もいとり)(供御の清水や氷をつかさどる),掃部(かにもり)(殿内の掃除をつかさどる),門部(かどもり∥かどべ)(宮殿の諸門の守衛をつかさどる),蔵部(くらひと)(内蔵,大蔵の出納をつかさどる),物部(もののべ)・佐伯部(さえきべ)(軍事・警察,刑罰をつかさどる)などがあった。部として,畿内やその周辺に居住する帰化氏族,その他を任ずる錦織部(にしこり∥にしごりべ)(絹織物の生産に従う),衣縫部(きぬぬい∥きぬぬいべ)(衣服の縫製に従う),鍛冶部(かぬち∥かぬちべ)(鉄と兵器の生産に従う),陶作部(すえつくり∥すえつくりべ)(陶器の製作に従う),鞍作部(くらつくり∥くらつくりべ)(馬具の製作に従う),馬飼部(うまかい∥うまかいべ)(馬の飼育に従う)などがあった。…
※「門部」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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