間引(読み)まびき

精選版 日本国語大辞典 「間引」の意味・読み・例文・類語

ま‐びき【間引】

〘名〙
生長途中農作物のうち何割かを抜き取ること。残したものに栄養が行きわたり、結果として豊かな収穫ができるようになる。うろぬき。
② 口べらしのため、生まれたばかりの子を殺すこと。
近世畸人伝(1790)二「貧民子あまたあるものは後に産せる子を殺す。是を間曳といひならひて」
間隔をあけること。あいだをはぶくこと。
方丈記私記(1970‐71)〈堀田善衛〉四「家々が防火用に強制破壊、つまりは間引きのために破壊されて」
④ 「まびきな(間引菜)」の略。
※雑俳・名付親(1814)「きも出して・間引一文直切る嫁」

ま‐び・く【間引】

〘他カ五(四)〙
野菜などを十分に生育させるために、生長の途中で、何割かを抜き取る。うろぬく。おろぬく。〔日葡辞書(1603‐04)〕
子どもが多くて、養育できないときなどに、親が生まれたばかりの子を殺す。
※俳諧・千代見草(1692)「間殺(まビク)子は鳥の巣守りの徒むす子」
③ 一般に、間をあける。間隔をおく。
咄本・正直咄大鑑(1687)黒「かかもあまりにくたびれて、〈略〉ときどきはまびかしゃれ」

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旺文社日本史事典 三訂版 「間引」の解説

間引
まびき

江戸時代農村で行われた嬰児殺し
出産前の堕胎を「おろす」というのに対して,出生直後に嬰児を圧殺などで殺すことをいった。農村労働力の減少,道徳上の見地から厳禁されたが効果なく,人口停滞の原因にもなった。

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