ソプラノ歌手。東京生まれ。祖父はフランス貴族ジャンドル将軍で、15世市村羽左衛門(うざえもん)は母の兄にあたる。幼時、三浦環(たまき)に師事し、東京音楽学校中退後は、歌をアドルフォ・サルコリ、作曲を小松耕輔(こうすけ)に師事。27年(昭和2)ミラノに留学、スカラ座の試験に合格し、プリマドンナとして各地を巡り、29年に帰国。翌年、山田耕筰(こうさく)指揮・演出の『椿姫(つばきひめ)』に藤原義江(よしえ)と共演し、天性の美貌(びぼう)と美声で名声を博した。以後、欧米はじめ日本、アジア各地で精力的に演奏活動を行うかたわら、オペラ『お夏狂乱』、歌曲『野いばら』『浜唄(はまうた)』などを作曲した。37年柳生(やぎゅう)五郎子爵と結婚したが4年で協議離婚。オペラ『巴御前(ともえごぜん)』の作曲を未完のまま、昭和16年11月23日睡眠薬自殺を遂げた。
[寺崎裕則]
『渡辺議著『関屋敏子の生涯』(1984・島田音楽出版社)』
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