改訂新版 世界大百科事典 「防御反射」の意味・わかりやすい解説
防御反射 (ぼうぎょはんしゃ)
defence reflex
生体に疼痛刺激のような有害な刺激(侵害刺激)を加えると,この刺激を回避するような反射が起こる。これを防御反射といい,多くのシナプスを介した多シナプス性の反射である。この反射は,実験的には上位中枢から脊髄への影響を取り除いた動物(脊髄動物)でよくみられ,臨床的には脊髄を横切断するような障害のある患者で特徴的である。屈曲反射および脊髄動物でみられる引っかき反射などは防御反射の例である。屈曲反射は,肢の皮膚,筋肉等に侵害刺激が加えられると,その肢の関節がすべて屈曲して,肢を刺激から遠ざける反射である。引っかき反射は,肩や脇腹に刺激物があると,後肢を律動的に屈伸させて,その刺激物をかき落とそうとする反射である。防御反射は有害な刺激から生体を保護するという生命存続にかかわる重要な意味のある反射で,とくに屈曲反射は,同時に起こりうる他の種々の脊髄反射に優先して起こる。
→反射
執筆者:大野 忠雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報