阿部昭(読み)アベアキラ

デジタル大辞泉 「阿部昭」の意味・読み・例文・類語

あべ‐あきら【阿部昭】

[1934~1989]小説家広島の生まれ。私小説的な短編を得意とし、「内向の世代」の作家として活躍作品に「千年」「人生一日」など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「阿部昭」の意味・わかりやすい解説

阿部昭
あべあきら
(1934―1989)

小説家。広島県生まれ。東京大学仏文科卒業。ラジオ東京(現、東京放送ホールディングス)を経て文筆活動に入る。1962年(昭和37)、処女作『子供部屋』により『文学界』新人賞受賞。1968年、第一作品集『未成年』で私小説的作風を確立海軍軍人であった父の死を主題にして、短編集『大いなる日』(1970)、中編小説『司令休暇』(1971)を書いて一家戦後を小説化した。短編集『千年』(1973)で毎日出版文化賞、短編集『人生の一日』(1976)で芸術選奨新人賞をそれぞれ受賞。『短篇(たんぺん)小説礼讃(らいさん)』(1986)は小説論として出色。ほかにエッセイ集『あの夏あの海』(1972)、『父たちの肖像』(1979)、『言葉ありき』(1980)、『散文の基本』(1981)、『挽歌(ばんか)と記録』(1988)などがある。

[栗坪良樹]

『『人生の一日』(1976・中央公論社)』『『阿部昭全短篇』上下(1978・講談社)』『『エッセーの楽しみ』(1987・岩波書店)』『『短篇小説を語る――阿部昭対談集』(1987・福武書店)』『『挽歌と記録』(1988・講談社)』『『阿部昭集』全14巻(1991~92・岩波書店)』『『司令の休暇』『千年・あの夏』『現代日本のエッセイ――父たちの肖像』(講談社文芸文庫)』『『短篇小説礼讃』(岩波新書)』『深谷考著『海辺の人間――阿部昭論』(1991・青弓社)』『深谷考著『阿部昭の<時間>』(1994・青弓社)』

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「阿部昭」の解説

阿部昭 あべ-あきら

1934-1989 昭和時代後期の小説家。
昭和9年9月22日生まれ。ラジオ東京(現TBS)勤務をへて,文筆生活にはいる。昭和37年第1作「子供部屋」で文学界新人賞,48年「千年」で毎日出版文化賞,52年「人生の一日」で芸術選奨新人賞。短編を得意とした。平成元年5月19日死去。54歳。広島県出身。東大卒。

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