陣鐘(読み)ジンガネ

デジタル大辞泉 「陣鐘」の意味・読み・例文・類語

じん‐がね〔ヂン‐〕【陣鐘/陣×鉦】

昔、軍勢進退や、陣中の種々の合図のために鳴らした鐘や銅鑼どら
[類語]陣太鼓攻め太鼓

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「陣鐘」の意味・読み・例文・類語

じん‐がねヂン‥【陣鐘・陣鉦】

  1. 〘 名詞 〙 陣中で、軍勢の進退の合図に打ち鳴らした銅鑼(どら)半鐘。〔書言字考節用集(1717)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「陣鐘」の意味・わかりやすい解説

陣鐘
じんがね

古代、軍防令(ぐんぼうりょう)にある、中国の軍制に倣った「鉦(しょう)」に由来する合図の軍器。軍勢を召集、進退させ、威武のために太鼓、法螺(ほら)貝とともに使用する釣鐘(つりがね)、伏鐘(ふせがね)、銅鑼(どら)などの打ち鐘で、集団戦を主とする戦国時代に普及した。古くは『続日本紀(しょくにほんぎ)』に騎兵を鉦で布陣させた記録があり、令制では官専用の軍器として、鼓、角(大角(はらふえ)・小角(くだぶえ))とともに私蔵を禁じた。中世、寺鐘の臨機の使用はあるが、軍記絵巻にはみえず、わずかに『蒙古襲来絵詞(もうこしゅうらいえことば)』に、蒙古兵が太鼓とともに銅鑼を打つさまがみえる。戦国時代には、指令示威にさまざまの鐘を打ち鳴らし、城郭内に鐘突(かねつき)堂を設け(『太閤記(たいこうき)』)たり、寺鐘を転用したりして、近世、軍陣専用の陣鐘という呼称を生じた。

[齋藤愼一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

発見学習

発見という行為の習得を目指す学習。または,発見という行為を通じて学習内容を習得することを目指す学習。発見学習への着想は多くの教育理論に認められるが,一般には,ジェローム・S.ブルーナーが『教育の過程』...

発見学習の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android