隅田川 浪五郎(読み)スミダガワ ナミゴロウ

新撰 芸能人物事典 明治~平成 「隅田川 浪五郎」の解説

隅田川 浪五郎
スミダガワ ナミゴロウ


職業
手品師

別名
別名=三遊亭 遊成

生年月日
天保1年

出生地
江戸(東京都)

経歴
はじめ矢師であった父の許で芸を修業し、次いで手品師・養老滝五郎師事。嘉永1年(1848年)には手品師の鈴川春五郎に入門。元治1年(1864年)頃から横浜居留地の外人を相手に手品を披露し、特に細かく切った紙を扇子であおいで蝶が舞うように見せる“蝶の舞”が好評を博した。慶応2年(1866年)アメリカ人興行師のバンクスに雇われ、妻の登和や息子の松五郎・娘の登宇らとイギリス船ニボール号に乗って渡欧。この時、日本人として初めて海外旅行券を幕府から給されている。2年間の滞欧中、ロンドンや万国博覧会開催中のパリ公演し、からくり人形をはじめとする日本の芸を見せた。明治1年に帰国するが、8年海外に再渡航。17年に帰朝後は三遊亭遊成を名乗り、寄席で活躍した。

没年月日
?

家族
子=隅田川 松五郎(旅芸人)

出典 日外アソシエーツ「新撰 芸能人物事典 明治~平成」(2010年刊)新撰 芸能人物事典 明治~平成について 情報

朝日日本歴史人物事典 「隅田川 浪五郎」の解説

隅田川浪五郎

没年:没年不詳(没年不詳)
生年:天保1(1830)
幕末明治期の手品師。浪五郎は本名。江戸生まれ。矢師の父のもとで修業中に養老滝五郎から手品を習い,嘉永1(1848)年鈴川春五郎に弟子入りする。紙を細かく切って扇子であおぐ「蝶の舞」が巧みで,元治1(1864)年以降,横浜在留の外国人にバタフライ・トリックの名で賞賛された。慶応2(1866)年米人バンクスに連れられて浜碇定吉らと渡米。1867年万博でにぎわうパリやロンドンをはじめヨーロッパ諸国で「蝶の舞」を演じ,明治2(1869)年ごろ帰国した。8年に再度海外へ出かけ,17年に帰朝後は三遊亭遊成の名で寄席へ出演した。

(倉田喜弘)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「隅田川 浪五郎」の解説

隅田川浪五郎 すみだがわ-なみごろう

1830-? 幕末-明治時代の手品師。
天保(てんぽう)元年生まれ。江戸の人。慶応2年アメリカ人興行師にやとわれ,浜碇定吉(はまいかり-さだきち)らと一座18人で渡米。翌年パリ万国博覧会で公演。以後ヨーロッパ各地を巡演,明治4年帰国した。再渡航後,17年から三遊亭遊成の名で寄席へ出演。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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