隠れ無い(読み)カクレナイ

デジタル大辞泉 「隠れ無い」の意味・読み・例文・類語

かくれ‐な・い【隠れ無い】

[形][文]かくれな・し[ク]
隠しようがなく表れている。それとはっきり分かっている。
しんから飛んだ事を云ってしまったとの後悔が、―・く顔にあらわれる」〈左千夫・隣の嫁〉
残らず表れている。残すところがない。
「所のさま、おぼつかなき浦々磯の、―・く描きあらはし給へり」〈絵合
世間に知れ渡っている。有名である。かくれもない。
「忍ぶとも、世にあること―・くて」〈夕顔
[類語]隠れもない名高い有名知名著名高名名うて名代評判名立たる名が売れる顔が売れる音に聞く世に出る世に聞こえる

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「隠れ無い」の意味・読み・例文・類語

かくれ‐な・い【隠無】

  1. 〘 形容詞口語形活用 〙
    [ 文語形 ]かくれな・し 〘 形容詞ク活用 〙
  2. 人にはっきりわかるさまである。残らず知られるさまである。
    1. [初出の実例]「ほととぎすかくれなき音(ね)を聞かせてはかけはなれぬる身とやなるらん」(出典:蜻蛉日記(974頃)下)
    2. 「世の中のことのかくれなくあらはるべき也」(出典:大鏡(12C前)一)
  3. 広く世間に知れわたっている。有名である。
    1. [初出の実例]「しのぶとも、世にある事、かくれなくて〈略〉よからぬわらはべの口すさびになるべきなめり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)夕顔)
    2. 「そのかくれなかりし西行法師と申せし人」(出典:仮名草子・恨の介(1609‐17頃)下)

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