改訂新版 世界大百科事典 「離断症候群」の意味・わかりやすい解説
離断症候群 (りだんしょうこうぐん)
交連繊維や連合繊維の破壊によって生ずる高次の精神機能の障害。ヒトの大脳は左右二つの大脳半球から成り立っており,左右の大脳半球間を連絡する神経繊維は交連繊維と呼ばれる。それは,脳梁,前交連などの交連繊維神経束を半球間で形成している。この交連繊維の破壊で生ずる高次精神機能障害は半球間離断症候群と呼ばれ,左視野の呼称障害,失読,左手の失書,失行などがそれに属する。
左右の大脳半球のいずれか一方の大脳半球内の大脳皮質間を連絡する神経繊維は連合繊維と呼ばれる。連合繊維束には,前頭葉と側頭葉を連絡する弓状束や,側頭葉と後頭葉を連絡する下縦束などがある。これらの破壊で生ずる高次精神機能障害を半球内離断症候群という。左弓状束破壊によって生ずる伝導失語,両側下縦束損傷による連合型視覚失認などが想定されている。
執筆者:杉下 守弘
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報