雨夜の月(読み)アマヨノツキ

デジタル大辞泉 「雨夜の月」の意味・読み・例文・類語

あまよ‐の‐つき【雨夜の月】

雨雲に隠れた月。想像するだけで目には見えないもののたとえ。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「雨夜の月」の意味・読み・例文・類語

あまよ【雨夜】 の 月(つき)

(雨降りの夜の月の意で)
① あっても、目には見えないたとえ。また、想像だけで、実現しないことのたとえ。
※詞花(1151頃)恋上・二〇七「影見えぬ君はあまよのつきなれや出でても人に知られざりけり〈覚雅〉」
② 雨のために見ることのできない中秋名月。雨の月。《季・秋》

うやのつき【雨夜の月】

箏曲。山田流奥許(おくゆるし)物。明治中期に、初世中能島松声作曲。歌詞は、「太平記」の藤原俊基朝臣東下りの一節

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「雨夜の月」の意味・わかりやすい解説

雨夜の月
うやのつき

山田流箏曲の曲名。奥歌曲。1世中能島松声作曲。作詞者不詳。『太平記』巻二の「俊基朝臣再関東下向事」を原拠とする。鎌倉幕府討伐を目指した正中の変に参画した日野俊基が,いったんは証拠不十分として釈放されたものの,再び捕えられて関東に送られていく道中を描く。道行に従って深くなる俊基の悲壮感・絶望感が,『古今和歌集』『新古今和歌集』などを引いた名文にのせて歌われている。平家琵琶を思わせる前弾き,一中節や河東節風の旋律多用,細かい歌い分け,緩急の変化などの工夫に富む。三弦は低二上りから,三下り,本調子。箏は半岩戸調子から雲井調子に転調。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

自動車税・軽自動車税

自動車税は自動車(軽自動車税の対象となる軽自動車等および固定資産税の対象となる大型特殊自動車を除く)の所有者に対し都道府県が課する税であり、軽自動車税は軽自動車等(原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自...

自動車税・軽自動車税の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android