雲気文(読み)ウンキモン

デジタル大辞泉 「雲気文」の意味・読み・例文・類語

うんき‐もん【雲気文】

中国で、戦国・漢時代にみられる文様空中に充満する気を表すC字形と弧線の連続した図案。流気文。

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精選版 日本国語大辞典 「雲気文」の意味・読み・例文・類語

うんき‐もん【雲気文】

〘名〙 雲気をかたどったという文様。曲線によって構成され、古くから中国で用いられた。雲文

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「雲気文」の意味・わかりやすい解説

雲気文
うんきもん

雲気とは雲の気配雲霧の移動のありさまのこと。古代中国では名君や竜が現れると雲気がただよい、めでたいことがおこると瑞雲(ずいうん)(めでたい雲気)が四方にたなびくと考えられていた。漢時代の壁画や画像石に多く出てくる蕨手(わらびて)形の曲線は、こういった雲気を表す文様である。日本の古墳から出てくる鏡のなかにも、この種の雲気文をつけたものがときに見受けられる。その後、雲気文は、竜文(りゅうもん)や霊芝文(れいしもん)などさまざまなモチーフと結び付き、特異な形式を次々に生み出していった。瑞雲、俗に天平雲(てんぴょうぐも)とよばれる形式は、中国では唐時代に流行し、奈良時代に日本に入ってきた文様であるが、これにはパルメット文様の要素が一部取り入れられている。日本では平安時代以後、中国風な雲気文の使用は主として仏教美術の分野に限られ、世俗的な装飾には、霞(かすみ)とか源氏雲(げんじぐも)とかよばれている和風の雲気文が用いられた。

村元雄]


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世界大百科事典(旧版)内の雲気文の言及

【蟠螭文】より

…この竜はいずれも角がはっきりしないので,若い竜という意味で螭の名をつけているが,虺竜(きりゆう)や螭竜の区別はつけにくい。この文様がやがて,玉璧にみられる穀粒文や,秦・漢時代の各種容器にみられる雲気文に変わっていったと考えられる。【杉本 憲司】。…

※「雲気文」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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