雲紙(読み)クモガミ

デジタル大辞泉 「雲紙」の意味・読み・例文・類語

くも‐がみ【雲紙】

鳥の子紙の一。上に青、下に紫の雲形模様があるもの。多く色紙短冊に用いる。うちぐもり。

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精選版 日本国語大辞典 「雲紙」の意味・読み・例文・類語

くも‐がみ【雲紙】

〘名〙 鳥の子紙の一種。上に青、下に紫の雲形の模様のあるもの。色紙(しきし)、短冊(たんざく)などに用いる。うちぐもり。〔俳諧・毛吹草(1638)〕
浮世草子好色二代男(1684)四「中を洗へば、雲紙(クモカミ)まくれて、弐重底に、百両包(つつみ)にして」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「雲紙」の意味・わかりやすい解説

雲紙
くもがみ

紙の上下・左右または四隅に雲の形を重ね漉(ず)きした漉き模様紙の一種。藍(あい)などで染めた紙をもとの繊維にまでほぐし、別に漉き上げた湿紙の上に、そのほぐした繊維の液を少しずつすくい上げて波形の模様をつくる。藤原行成(ゆきなり)筆と伝えられる『雲紙本和漢朗詠集』(御物)は有名。雲紙の名は室町時代から一般化し、江戸時代になると文献に頻出する。最初の発明者も年代も不明。近世から摂津国名塩(なじお)(兵庫県西宮市)や越前(えちぜん)国今立(いまだて)(福井県)などで、主として鳥の子系統の紙で加工され、色紙、短冊などに使用された。打曇(うちぐもり)(内曇とも書く)、飛雲(とびくも)、小(こ)飛雲、雲華紙(うんげし)(雪降り紙)、雲肌紙など各種の変形もくふうされ、工芸紙として装飾面で発達している。手漉きによってのみつくられる芸術紙である。

[町田誠之]

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普及版 字通 「雲紙」の読み・字形・画数・意味

【雲紙】うんし

くもがみ。

字通「雲」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の雲紙の言及

【和紙】より

…打曇は紙の天地にたなびく雲のようにかかり,飛雲は紙のあちこちに浮遊する雲のようにかける。(2)雲竜紙(うんりゆうし)(雲紙(くもがみ)) 着色した繊維や手ちぎりの長い繊維で漉いた紙で,水の変化のある動きが長い繊維にあらわれる。短い繊維のミツマタ等を使えば雲肌紙(くもはだがみ)となる。…

※「雲紙」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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