腸内細菌科のセラチア属に属する細菌の1種。グラム陰性で,好気性ないし通性嫌気性の小型の杆菌。長さ0.7~1.0μm,幅およそ0.7μmで,ほぼ球形に近い。周毛性鞭毛をもち,運動性を有する。病原性はない。色素産生菌であり,真紅の色素プロジギオシンを産生し,培地上に赤色の集落をつくる。霊菌は,自然界に広く分布しており,動物性食品,植物性食品に生える。パンなどのデンプン質の食品上で増殖すると赤い斑点をつくることから,キリストの血のしたたりにみたてて,霊菌と名づけられたという。本菌の色素形成には多くの突然変異株が見いだされており,遺伝生化学の研究材料として利用されている。また,小型であることと集落を認めやすいことから,細菌ろ過器の性能試験にも用いられている。
執筆者:川口 啓明
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… 菌交代現象や菌交代症の発生機序を考えるとき,微生物,宿主(ヒト),薬剤および環境の4因子を検討するのが便利である。微生物すなわち耐性菌は抗生物質の発達に伴い時代とともに当然変化するが,現在ではグラム陰性杆菌,とくに緑膿菌,およびその類縁菌,霊菌,カンジダなどが重視されている。宿主側では,3歳以下および60歳以上により多く,基礎疾患や感染防御力の低下があると起こりやすい。…
※「霊菌」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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