面隠(読み)おもがくし

精選版 日本国語大辞典 「面隠」の意味・読み・例文・類語

おも‐がくし【面隠】

〘名〙 (古くは「おもかくし」)
① 恥ずかしさのために顔を隠すこと。また、そのためのもの。
万葉(8C後)一二・二九一六「玉かつま逢はむといふは誰れなるかあへる時さへ面隠為(おもかくしする)
② 恥ずかしさを紛らすこと。また、そのためのもの。てれかくし。
源氏(1001‐14頃)宿木「おもかくしにや『など、かくのみ悩ましげなる御けしきならむ。〈略〉』などやうなるまめごとをの給へば」
③ 醜いものの表面をおおって隠すこと。
※枕(10C終)三〇二「あやしき賤(しづ)の屋も雪にみなおもかくしして〈略〉いみじうをかし」

おも‐がく・す【面隠】

[1] 〘自サ四〙 (古くは「おもかくす」) 恥じらって顔を隠す。
※万葉(8C後)一一・二五五四「あひ見ては面隠(おもかくさ)るるものからにつぎて見まくのほしき君かも」
[2] 〘他サ四〙 醜いもののうわべを隠す。表面をおおう。
曾丹集(11C初か)「かこはねど蓬(よもぎ)のま垣夏来ればあばらの宿をおもがくしつつ」

つら‐かくし【面隠】

〘名〙
① 江戸初期の操人形芝居で、人形つかいの顔を隠すため舞台に引いた幕。顔隠(かおかくし)
浮世草子好色一代男(1682)五「人形まはしして遊べと〈略〉上幕、つらがくし、首落し」
② 厩(うまや)で隣り合わせの馬と互いの顔を見えないようにする仕切り。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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