朝日日本歴史人物事典 「韓国広足」の解説
韓国広足
奈良初期の宮廷の呪術師。物部連の遠い子孫で,その祖が韓国に派遣され,この姓になったといわれる。修験道の開祖とされる役小角に師事して,道教的な呪術を学んだが,文武天皇3(699)年,師の秀でた験力を妬んで,妖術で人々を惑わしていると讒言し,これによって役小角は伊豆島に流刑にされたといわれる。神亀年間(724~729)には,医療を司る典薬寮の呪禁師であった。呪禁師とは杖刀をもって呪文を唱えて悪気を払い,病気や災厄を防ぎ除去する道教的な呪術を行う者である。天平4(732)年には,典薬寮の長官である典薬頭になっている。
(川村邦光)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報