韓神(読み)カラカミ

デジタル大辞泉 「韓神」の意味・読み・例文・類語

から‐かみ【韓神】

昔、宮内省に祭られていた神。大己貴おおなむち少彦名すくなびこな二神と伝えられる。からのかみ。→園神そのかみ

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精選版 日本国語大辞典 「韓神」の意味・読み・例文・類語

から‐かみ【韓神】

  1. ( 朝鮮から渡来した神の意 ) 昔、守護神として宮内省の中にまつられていた神。「古事記」には大年神(おおとしのかみ)伊怒比売(いぬひめ)との間の子とし、「大倭神社註進状所引旧記」には大己貴命(おおなむちのみこと)少彦名神(すくなひこなのかみ)両神とする。平安時代には、園神(そのかみ)とともにまつり韓神祭(からかみのまつり)が盛大に行なわれた。からのかみ。
    1. [初出の実例]「〈本〉三島木綿(ゆふ) 肩に取り掛け われ可良可見(カラカみ)韓招(からを)ぎせむや 韓招ぎ 韓招ぎせむや」(出典神楽歌(9C後)韓神)
    2. 「百首歌の中に神楽をよめる からかみに袖ふるほどは殿守のともの宮つこみひしろくたけ」(出典:散木奇歌集(1128頃)冬)

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改訂新版 世界大百科事典 「韓神」の意味・わかりやすい解説

韓神 (からかみ)

御神楽(みかぐら)に歌う神楽歌の曲名現行歌詞は,本歌〈三嶋木綿(みしまゆう) 肩に取り掛け 我れ韓神の 韓招禱(からおぎ) せんや 韓招ぎ〉,末歌〈八葉盤(やひらで)を 手に取り持ちて 我れ韓神の 韓招禱 せんや 韓招ぎ〉を2回くり返し,2回目は本歌,末歌とも初めの1句を省く。1回目を《閑(しず)韓神》,2回目を《早(はや)韓神》といい,後者には人長(にんぢよう)の舞がある。韓神は平安遷都以前から皇居の地にあって,遷都後もとどまってここに祭られた神であり,この歌はそれを招く意の歌である。
御神楽
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朝日日本歴史人物事典 「韓神」の解説

韓神

『古事記』や『延喜式』神名帳などにみえる神。「韓」は朝鮮の意。よって,神名は朝鮮国の神の意。朝鮮半島からの渡来人およびその系統の人々によって祭られた神。『古事記』には,須佐之男の子である大年神と伊怒比売との間に生まれた第2子としてその名が挙げられており,新羅国の都である徐伐(現在のソウル)をそのまま名とした第3子の曾富理神と共に,古代朝鮮との密接な関係を反映する。『延喜式』神名帳には,宮内省にいます神として園神社,韓神社の名が挙げられているが,韓神が宮内省に祭られるようになった由来は大江匡房の『江家次第』にみえる。それによれば,この神は延喜(901~923)以前から宮内省に鎮座していたが,遷都の際に他所へ遷そうとしたところ,自分はずっとここで帝王を護りたいというこの神の託宣があったので,宮内省に祭ることになったという。

(佐佐木隆)

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「韓神」の解説

韓神 からかみ

「古事記」にみえる神。
大歳神(おおとしのかみ)と伊怒比売(いのひめ)との間に生まれた5神のうち,第2神とされる。朝鮮から渡来した人々にまつられた。「延喜(えんぎ)式」神名帳には,韓神社が,宮内省にまつられる神としてあげられている。

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世界大百科事典(旧版)内の韓神の言及

【園韓神祭】より

…平安京宮内省内にまつられていた園神と韓神との祭り。園・韓神は平安京造営以前よりこの地にあり,帝王を守らんとの神託により他所に移さずにまつられた。…

【御神楽】より

…現行御神楽の原形である〈内侍所(ないしどころ)の御神楽〉は,《江家次第》《公事根源》等によれば,一条天皇の時代(986‐1011)に始まり,最初は隔年,白河天皇の承保年間(1074‐77)からは毎年行われるようになったという。これより古くから宮中で行われていた鎮魂祭,大嘗祭(だいじようさい)の清暑堂神宴,賀茂臨時祭の還立(かえりだち)の御神楽,平安遷都以前から皇居の地にあった神を祭る園韓神祭(そのからかみさい)等の先行儀礼が融合・整理されて,採物(とりもの),韓神,前張(さいばり),朝倉,其駒(そのこま)という〈内侍所の御神楽〉の基本形式が定まり,以来人長(にんぢよう)作法,神楽歌の曲目の増減等,時代による変遷はあったものの,皇室祭儀の最も重要なものとして,よく古式を伝えて今日にいたっている。 御神楽は夕刻から深夜にかけて,神前の庭に幕を張って楽人の座を設け,庭火を焚いて座を清め,これを明りとして行われる。…

※「韓神」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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