預ける(読み)アズケル

デジタル大辞泉 「預ける」の意味・読み・例文・類語

あず・ける〔あづける〕【預ける】

[動カ下一][文]あづ・く[カ下二]
金品身柄を人に頼んで、その保管世話を頼む。「荷物を―・ける」「銀行に金を―・ける」
物事処理を人にゆだねる。「店を―・ける」「帳場を―・ける」
からだをもたせかける。「上体を―・ける」
紛争勝負決着第三者に一任する。「勝負を―・ける」
茶の湯点前てまえで、茶道具を仮置きする。
関係させる。
「花の賀に召し―・けられたりけるに」〈伊勢・二九〉
[類語](1)(2託するゆだねる任せる寄託する預託する信託する委託する委任する付託する言付ける頼むしょくする依託する委嘱する依嘱する嘱託する・やってもらう/(3もたせかけるもたせる寄せかける

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精選版 日本国語大辞典 「預ける」の意味・読み・例文・類語

あず・けるあづける【預】

  1. 〘 他動詞 カ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]あづ・く 〘 他動詞 カ行下二段活用 〙
  2. [ 一 ] ある物事を他人に任せる。寄託する。
    1. 人の身柄や物事を一時的に引き渡してそのめんどうをみさせる。人に頼んで保管、管理してもらう。
      1. [初出の実例]「世(の)中を誘(こしら)へて御子の列(つら)に預(アヅ)け給ひ」(出典:東大寺諷誦文平安初期点(830頃))
      2. 「妻(め)の女にあづけて養はす」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
    2. もめごと、争い事などで決着のつけにくい時、その処置を第三者に任せる。とりさばきを一任する。
      1. [初出の実例]「いで、ただ己(おのれ)にあづけ給へれ。いと安き事」(出典:栄花物語(1028‐92頃)見はてぬ夢)
    3. 中世近世主君の不興をかった者や容疑者、犯罪人等を監視させるために、第三者や寺院町村に託して保護させる。→預け
      1. [初出の実例]「河村三郎義秀被収公河村郷景義」(出典:吾妻鏡‐治承四年(1180)一〇月二三日)
      2. 「其の外僧綱十三人闕官(けっくゎん)ぜられて、みな検非違使にあづけらる」(出典:平家物語(13C前)四)
    4. 中世(室町時代)、近世、利子をつけないで金、米などを貸す。
      1. [初出の実例]「此三月過に弐拾貫目預(アヅ)けました」(出典:浮世草子・世間胸算用(1692)二)
    5. 近世、自分の土地を他人に貸して小作させる。
    6. 年期を限って身を売る。
      1. [初出の実例]「どこぞへ私があづけられて、お金をこしらへてあげるヨ」(出典:人情本・春色梅児誉美(1832‐33)五)
    7. 質ぐさを入れて金を借りる。質入れする。
      1. [初出の実例]「シチヤヘ モノヲ adzkete(アヅケテ) カネヲ カル」(出典:和英語林集成(初版)(1867))
    8. ( 保管を依頼することから ) 酒席で、返盃しないで盃を先方にとめておいてもらう。また、すすめられた酒を遠慮する。
      1. [初出の実例]「あづけるの嫌ひな礼者づふに成」(出典:雑俳・柳多留‐一〇(1775))
    9. 他から物をもらうのを遠慮する。
      1. [初出の実例]「紙に銭をつつみ清六にやる『ナニサこんな事じゃアわるふござります。マアお預け申ます』」(出典:洒落本・孔雀そめき(1789‐1801)草庵晒落)
    10. 茶の湯で、道具類を仮置(かりおき)する。
  3. [ 二 ] ある物事にかかわりをもたせる。参与させる。
    1. 人や物をさしむけて加わらせる。参加させる。
      1. [初出の実例]「春宮の女御の御方の花の賀に召しあづけられたりけるに」(出典:伊勢物語(10C前)二九)
    2. ( 連用形の形で用いられ ) …に関して。
      1. [初出の実例]「人事に関(アヅ)けて、輙(たやす)く高下を為すに非ず」(出典:南海寄帰内法伝平安後期点(1050頃)二)

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