頓写(読み)トンシャ

デジタル大辞泉 「頓写」の意味・読み・例文・類語

とん‐しゃ【頓写】

急いで書き写すこと。
追善供養のため大勢が集まって一部の経を1日で写すこと。一日経。
「一日―の経書きて、回向ゑかうして」〈仮・御伽婢子・一三〉

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精選版 日本国語大辞典 「頓写」の意味・読み・例文・類語

とん‐しゃ【頓写】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 急いで書き写すこと。
    1. [初出の実例]「夜前夢に頓写大般若廻請中綱持来」(出典:大乗院寺社雑事記‐文正二年(1467)正月四日)
  3. 追善供養のため、一座に大勢が集まって、大乗経典、主として法華経を一日で書き写すこと。漸写(ぜんしゃ)に対していう。一日経。
    1. [初出の実例]「於南御堂、有御仏事、被養頓写法華経一部」(出典:吾妻鏡‐建久二年(1191)九月三日)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「頓写」の意味・わかりやすい解説

頓写
とんしゃ

経典をすばやく書写すること。日本では平安時代以来,儀式として行われ,『中右記』嘉保3 (1096) 年3月 18日の条には,1日に『一切経』を書写したとあり,静岡県鷺津町妙立寺には,藤原基衡が父清衡のため1日に『法華経』 1000部を書写した遺品がある。

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