結晶水を有する結晶や水和物が,大気中でその水分を失う現象。多くの場合,結晶状から粉末状に変化する。これは,結晶のもつ水蒸気圧が大気中の水蒸気の分圧よりも高い場合に,結晶中の水分が大気中へ移っていくために起こる。たとえば硫酸ナトリウム10水和物Na2SO4・10H2Oは,外見は氷砂糖のような結晶であるが,大気中に放置すると,表面から徐々に(数日で)白い粉末状に変化する。表に風解する物質の例をあげる。
執筆者:橋谷 卓成
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
水和水をもつ結晶を空気中に置くと,水和水がとれて粉末になる現象.固体塩類の分解反応の一つである.水和水をもつ塩が分解して無水塩と共存すると,この系は相律から一定温度では一定の水蒸気分圧をもつ.この分圧が空気中の水蒸気分圧より高いと,塩の分解は完全に進行して新しく無水塩のみになる.無水塩の結晶成長速度が核生成速度に比べて遅いため,微粉末が生成する.例としては,Na2CO3・10H2O,Na2SO4・10H2O,Na2HPO4・12H2Oなどがある.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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