食入(読み)くいいる

精選版 日本国語大辞典 「食入」の意味・読み・例文・類語

くい‐い・る くひ‥【食入】

〘自ラ五(四)〙
① かみついている歯が、深く物にはいり込む。また、強く密着した縄などが、肉に食い込む。〔日葡辞書(1603‐04)〕
指輪の罰(1902)〈国木田独歩〉三「抜んと悶けども抜けず、愈々指に食(ク)ひ入(イ)るばかり」
② 心、視線などが対象の中に強く、また深くはいり込む。没入する。また、強い影響力をもって心の中などにはいり込む。
※思出の記(1900‐01)〈徳富蘆花〉三「今『西洋血潮小嵐』『自由の凱歌』など云ふ小説余念もなく喰ひ入る時となった」
※小説平家(1965‐67)〈花田清輝〉三「食いいるように前方一点をみつめたまま」

すき‐い・る【食入】

[1] 〘他ラ下二〙 湯、水などを口に流しこむ。
※宇津保(970‐999頃)あて宮「文を小さく押しわぐみて、湯してすきいれて」
[2] 〘自ラ四〙 吸いこまれる。水のように流れこむ。
金葉(1124‐27)連歌・六四三「宇治にて、田中に老いたる男のふしたりけるを見て 春の田にすきいりぬべきおきなかな〈深覚〉 かのみなぐちに水をいればや〈藤原頼通〉」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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