食品汚染(読み)しょくひんおせん(英語表記)food contamination

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「食品汚染」の意味・わかりやすい解説

食品汚染
しょくひんおせん

食品の有害物による汚染。有害な食品添加物,残留農薬,製造工程での有害物混入により生じる。カネミ油症は製造工程での PCB混入,AF2 は有害添加物,カドミ米は農産物への有害廃棄物吸着,有機リン汚染は農薬,と多岐にわたる。人体への影響も,急性慢性中毒,発癌催奇性,アレルギーなど多様である。環境汚染,農法の変化,食品加工の一般化,長期輸送および長期貯蔵の必要性,市場価値の付加など原因も複雑であるが,工業化,大都市化に基本的原因があることは否めない。対策として,食品衛生法,農用地土壌汚染防止法,農薬取締法などによる規制がある。近年では輸入農産物の残留農薬問題などが発生しており,国際的な対応措置も必要とされてきている。

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知恵蔵 「食品汚染」の解説

食品汚染

食品が有害物質などで汚染されること。1950年代以降の日本では、イタイイタイ病水俣病森永ヒ素ミルク事件、カネミ油症などの公害が発生。いずれも米、魚介類、ミルク、米ぬか油といった食品中に、カドミウム水銀ヒ素ダイオキシン類などが含まれていたことが原因。食品は、農作物起因の残留農薬、発がん性が疑われる食品添加物、動物飼料添加物の抗生物質や成長ホルモン剤、BSE放射能などで汚染される場合もある。食品汚染防止のために、国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)による合同食品規格計画(CODEX委員会:CODEX Alimentarius Commission)に、食品添加物・汚染物質部会が設置され、全ての食品に対し、重金属類などの安全基準を検討・設定している。

(畑明郎 大阪市立大学大学院経営学研究科教授 / 2007年)

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世界大百科事典(旧版)内の食品汚染の言及

【食品】より

…このほか,砂糖のとりすぎと虚血性心疾患,高カロリー食による肥満の問題などが大きな問題として指摘されている。
[食品の安全性]
 食品の安全性を確保することを食品衛生というが,食中毒や食品汚染,癌原性物質などによる慢性疾患の発生などが問題となっている。日本では1947年に〈食品衛生法〉が制定され,食品の製造,管理などについて細かく規定されているが,食品による危害を未然に防止することは容易ではない。…

※「食品汚染」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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