( 1 )元来は、「衣類と食物」を意味する漢語「衣食(えじき)」であったが、次第に「食物」の方に意味がかたより、室町時代には①のような用法となった。この結果、「え」を「動物の食料」を意味する和語「え(餌)」と解釈し直したことで②の用法が成立し「餌食」と表記されるようにもなった。
( 2 )「え(餌)」はもともと「ゑ」で音が異なったが、中世では「え」「ゑ」の対立はすでになく、一音節語「え」が語としての安定を求めて多音節化していく過程で、このような混交が生じたと考えられる。江戸時代以降「動物の食料」を意味する語は「えさ」となったため、「えじき」はさらに③の意になり、現代にいたる。