江戸時代,田畑が災害によって荒廃したり,道や堤に地目が変更されるなど,年貢を免除または軽減すべき事情が生じた場合,その分を引高として村高の内から控除することをいう。高内引には年々引,連々引,一作引の3種がある。年々引は,なんらかの必要があって人為的に地目変更がなされた土地など,もとに戻る見込みがない場合に適用され,永引高として恒常化されるものである。郷蔵屋敷引,田畑成引,堤敷引,溜井敷引,道代引など多くの種類がある。これに対し,山崩れ,洪水などの天災によって高内引となった土地は,連年起返(おこしかえし),原状に復しうるものであるから連々引と称し,年々引と区別された。川欠引,永荒場引,石砂入引,池成引などがこれにあたる。また一作引とは,風水害,干ばつ,虫害などで作付不能となったり,立毛を損毛して収穫皆無となった場合に,その年に限り高内引にするもので,当引とも称する。
執筆者:安藤 正人
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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