高瀬川(京都市)(読み)たかせがわ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「高瀬川(京都市)」の意味・わかりやすい解説

高瀬川(京都市)
たかせがわ

京都市の市街地東部を北から南に流れる小運河。中京(なかぎょう)区二条で鴨(かも)川から分水し、鴨川の西を並行して南下し、南区東九条で鴨川に合流する。さらに東山区福稲(ふくいね)で分水、東高瀬川となって南流し宇治川に合流する。延長約10キロメートル。幅約7.2メートル。1611年(慶長16)角倉了以(すみのくらりょうい)によって開削が始められ、1614年に竣工(しゅんこう)した。総工費7万5000両。水深が浅いため、舟運は底の浅い高瀬舟を用いたので高瀬川とよばれるようになった。森鴎外(おうがい)の短編小説『高瀬舟』で知られる。淀(よど)川の水運によって伏見(ふしみ)まで運ばれた米、木材薪炭(しんたん)などは高瀬川を引き船によって京都まで送られた。高瀬川沿いに材木商が集まり、いまも木屋町(きやまち)の名が残る。二条大橋付近の船だまりは「高瀬川一之船入(たかせがわいちのふないり)」として国史跡に指定されている。

織田武雄


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