髪切(読み)かみきり

精選版 日本国語大辞典 「髪切」の意味・読み・例文・類語

かみ‐きり【髪切】

〘名〙
① 髪を切ること。また、その道具。
② 髪の毛が知らないうちに根元から切れ落ちる事件。中世から近世にかけて江戸をはじめ各地で起こり、狐のしわざとも怪異のしわざともされ、恐れられた。
大乗院寺社雑事記‐康正三年(1457)三月二一日「御所中にかみ切出来云々」
③ 髪を切った人。江戸時代には関所手形などに人物の特徴の一つとして記入した。
④ 江戸時代、遊女が客にまごころを示すために髪を切ること。
浄瑠璃世継曾我(1683)二「なじみを重ねまいらせて、ゆびきりかみ切いれぼくろ」
⑤ 髪を切り下げにして後家(ごけ)風にすること。また、その人。
※浮世草子・色里三所世帯(1688)中「髪切(カミキリ)おもしろければ振袖の後家さがせとある」
⑥ 江戸時代、吉原で行なわれた私刑の一つ。遊客が、無断でなじみ以外の遊女を買った場合、なじみの遊女がその男の頭髪を髻(もとどり)の所から切り落とすこと。散切(ざんぎり)
※洒落本・蕩子筌枉解(1770)送朱大入秦「こよひかみきりの刑にゆく先でも」
⑦ 「かみきりむし(天牛)①」の略。《季・夏》 〔日葡辞書(1603‐04)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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