鬼ここめ(読み)おにここめ

精選版 日本国語大辞典 「鬼ここめ」の意味・読み・例文・類語

おに‐ここめ【鬼ここめ】

〘名〙 (「ここめ」は化け物妖怪の意) 醜い鬼。荒武者をたとえていう。
※米沢本沙石集(1283)七「鬼(ヲニ)ここめの様なりし和田一門を、かけちらしたりし武士也」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「鬼ここめ」の意味・わかりやすい解説

鬼ここめ
おにここめ

平安時代の辞書倭名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)』や『類聚名義抄(るいじゅうみょうぎしょう)』などに「ここめ」を醜女、鬼などというが、妖怪(ようかい)、化け物などを表す恐怖のイメージをもたらすことばとみてよい。実体ははっきりしないが、「ここめ」に「誠にや君がつかやを毀(こぼ)つなる世には勝れるここめありけり」(『今鏡』)とあり、「鬼ここめ」に「鬼ここめをも物ならず思へる武士はおそろしきものぞ」(『十訓抄(じっきんしょう)』)、「あら牛にて、鬼ここめの様なりし和田が一門を、かけちらしたりし武士也」(米沢本『沙石集(しゃせきしゅう)』)などのような用例がみられる。子供を脅(おど)すのに「ここめがくる」ともいわれたらしい。

[岡田袈裟男]

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