(読み)シャチ

デジタル大辞泉 「鯱」の意味・読み・例文・類語

しゃち【×鯱】

マイルカ科哺乳類体長約7メートルのハクジラ。背は黒色、腹は白色。雄の背びれは大きく、直立する。性質獰猛どうもうで、イカ・魚類のほかアザラシ・アシカ・イルカ類、時には群れで鯨などを襲う。さかまた。
しゃちほこ」の略。
[補説]「鯱」は国字。
[類語]鬚鯨長須鯨白長須鯨背美鯨座頭鯨歯鯨抹香鯨海豚いるか儒艮じゅごん

しゃち‐ほこ【×鯱】

想像上の、魚に似た海獣。頭はとらに似て背に鋭いとげがあり、尾は空に向かって反り返る。
城などの屋根の大棟おおむねの両端につける1をかたどった金属製・瓦製などの飾り物。火よけのまじないとされ、鴟尾しびが、後世、形を変えたものともいわれる。しゃち。
[補説]「鯱」は国字。

しゃっちょこ【×鯱】

しゃちほこ」の音変化。

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精選版 日本国語大辞典 「鯱」の意味・読み・例文・類語

しゃち‐ほこ【鯱・&JISEFD1;】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 想像上の海獣。頭はトラに似、背にはとげがあって形は魚に似たものという。〔文明本節用集(室町中)〕
  3. 城郭などの大棟(おおむね)の両端につける魚形の飾り瓦。が海に住むところから防火の効があるとされ、そのさかだちした形に作ったもの。鴟尾(しび)の変形という。しゃちほこがわら。しゃちがわら。
    1. 鯱<b>②</b>〈愛知県名古屋城〉
      〈愛知県名古屋城〉
    2. [初出の実例]「鱐に金のひかりは城のひれ」(出典:雑俳・楊梅(1702))
  4. しゃち(鯱)」の別名
    1. [初出の実例]「鯨(くじら)〈略〉有魚虎(シャチホコ)。其歯鰭如剣鉾」(出典:和漢三才図会(1712)五一)
  5. 魚「まつかさうお(松毬魚)」の異名

しゃち【鯱】

  1. 〘 名詞 〙
  2. マイルカ科の哺乳類。雄は体長約九メートルに達するが、雌はそれより一~二割ほど小さい。体形はイルカよりずんぐりとして、頭は丸く、上下のあごにがんじょうで鋭い歯をもつ。体は黒く、目の後上方と体側に顕著な白斑がある。胸びれは卵円形で大きく、雄の背びれは長大で直立する。北極南極のほか世界の海洋に広く分布。魚などを食べるほか、クジラ、アザラシやサメなどを襲って捕食する。さかまた。くじらとおし。しゃちきり。しゃちくじら。しゃちほこ。
    1. [初出の実例]「なぎたる時釣してもさらに魚をえぬときはしゃちの通りしならんと申侍れと」(出典:随筆・磯通太比(1817頃))
  3. しゃちほこ(鯱)」の略。

しゃっ‐ちょこ【鯱】

  1. 〘 名詞 〙 「しゃちほこ(鯱)」の変化した語。
    1. [初出の実例]「鯨や鯱(シャッチョコ)を呑(のま)うとは、大それた芥子之助だア」(出典:滑稽本浮世風呂(1809‐13)前)

さち‐ほこ【鯱】

  1. 〘 名詞 〙しゃちほこ(鯱)壒嚢鈔(1445‐46)〕

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百科事典マイペディア 「鯱」の意味・わかりやすい解説

鯱【しゃち】

東洋建築において,屋根の大棟(おおむね)の両端につける魚形の棟飾。〈鯱鉾(しゃちほこ)〉ともいう。鴟尾(しび)の変形したものと考えられ,中国では宋代に出現,日本には室町時代に伝わり,城郭建築に用いられた。

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動植物名よみかた辞典 普及版 「鯱」の解説

鯱 (シャチ)

学名:Orcinus orca
動物。マイルカ科のハクジラ

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